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homia

Author:homia
homia(ほみ)
2004年春、山岸涼子の「テレプシコーラ」を読み
同年8月東京バレエ団40周年記念ガラからバレエに通い始める
2006年7月7日ブログ開始

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新国立劇場バレエ団「ドン・キホーテ」 10月17日 オペラ劇場
キトリ:川村真樹
バジル:芳賀望

一日おきに初台通いはいささかハードでした。やはり日常のいろいろが滞ります。でも3キャスト見られてよかったし楽しかった!

川村さんがいちばん大人っぽく艶っぽいキトリでした。これまでオーロラ、ライモンダ(半分だけ)などおっとりとした姫キャラを見てきたので、どんな感じか想像がつきませんでしたが、彼女は演技や役作りもすごくしっかりしているのでしょうね。すっかりキトリになりきっていて説得力があったし、ひろみさん、寺田さん、と見てくると一番オーソドックスなキトリかもしれない。すごく気風がいいとかあだっぽいまではいっていないと思うのですが、そういう雰囲気が3人の中では最もある。
どうやら私はかなりこの方が好きらしく、「何を踊ってもいい!」と思ってしまいました。のびのびとおおらかにスケール大きく美しいラインを描く踊りが大好きです。ポーズをとるときのバランスも安定していてすこしだけ長め、とてもあざやかに目に残ります。それまでの過程も綺麗。
1幕の演技が特に良く、細かいところまでテンポ良く“キトリ”していたと思います。どこか端的な箇所を指摘できるといいのですが、ちょっと今根気がありません。

芳賀さんは自分らしさを出そうと頑張っていた様子。ピルエットのときの手の位置を変えたり、だんだん減速したりと工夫していました。片手リフトも長め。ジャンプの空間姿勢が今一歩で残念。ノリがよく軽さのあるやんちゃバジルかな。キトリとバジルの力関係のバランスは川村&芳賀組が一番拮抗していたでしょう。ひろみ&山本、も寺田&マイレンもバジルの包容力が大きかったのに対し、この2人は微妙な引っ張り合い。

脇キャストが13日、15日とは代わりました。市川透さんのキホーテは滑稽味が勝つ。長瀬信夫さんのキホーテはちょっと反則ぐらいに素敵な老紳士でしたがあれは別格という感じがします。市川さんも小芝居をしていて、メヌエットを踊ったあとあらぬ方向に歩いていく、と今度はサンチョがキホーテの手をとり踊り続け、キトリと思ってサンチョの手にキスしちゃって慌てて怒ったり。その後ちゃんと「こんなにどきどきしているのだよ」とやって苦しそうに舞台をはけていきました。吉本泰久さんのサンチョは長瀬さん、市川さんの2人に合わせて受けの演技をしているのですね。吉本さんも演技達者な人ですからまったく問題なし。

そしてなんと言っても忘れてはならない、マイレンのエスパーダ!
輪島さんごめん、この日ばかりは1幕の登場シーンの後マイレンしか見ていなかった~
んもうかっこよくてセクシーでしびれます。バジルの時もちゃんとセクシーだったけど、5割増しぐらい色っぽい。すかした色男ぶり。見得きりとためと首から上にちょっとアクセントをつけて、けれん味があるとでもいうのかな、やりすぎないギリギリ。モテモテ、憧れの闘牛士ですもんね、このぐらいやってくれなくては。

今回痛感したのが、街の踊り子、メルセデス、ギターの踊り、の3役を出来る人材が新国立は不足しているということ。新国立の演出だとこの3役は別々のダンサーが踊らなければなりません。街の踊り子はまあまあとして、2幕ではメルセデスとギターの踊りのメイン女性が拮抗しないとつまらないのです。
居酒屋にエスパーダはメルセデスを伴って現れ、すぐにギターの踊りのメイン女性に目をとめ見つめます。それを見て取ったメルセデスは怒って持っていたエスパーダのムレタを投げ捨てて去ります。その後エスパーダはギターメイン女性に近づき後を追う。ギターの踊りが始まるときもエスコートし、踊っている最中もほぼ見つめ続け、今度は自分が踊る。その時はギター女性が見ています。そこに2人の男女の視線のドラマがあるのです。踊っている最中もおたがいに相手を意識し、アピールしたりする。
更にその後メルセデスが戻ってきて、ギター女性は引き下がります。

そのあたりの演技、雰囲気作り、存在感が13日、15日の湯川麻実子さんは抜群にうまかった。で、その2日間は西川貴子さんのメルセデスが物足りない。
17日はメルセデスが湯川さんになってこれがまたいいのですが、ギターメイン女性が楠元郁子さん。申し訳ないが物足りない。せっかくの色男マイレン エスパーダの視線を受け切れていません。
湯川さんのギター女性が自分で選んでここで踊っている、男と女の大人の世界に遊べるひとだとすれば、楠元さんの場合いろいろ事情があってここで踊っているけれど真面目で一途、みたいな存在感の違い。
新国立のダンサーは総じて品の良いおとなしい感じがする女性が多いとの印象を持っています。それが「カルメン」や「椿姫」のときの脇の群舞クラスの演技にでて物足りない、つまらない、と感じることも多い。この辺がもうすこし変化すると厚みが出るのにと思います。
ちょっと思い巡らしてみると、長田佳世さんはこういうキャラクターの強い役、いけそうですね。

キューピッドは高橋有里さんでした。ベテランでいらっしゃると思うけれど、足回りが大変軽やかで良かったです。

やっぱり新国立のドン・キは “しりつぼまり”感が強いかな、と思いました。2幕の居酒屋でキトリとバジルの結婚話は決着がついてしまっており、ジプシー野営地にはキホーテとサンチョしか行きません。その順序が逆で居酒屋が後に来てそこで結婚話が決着する方が、最後のGPDDに向かって気分が盛り上がるのですね。今は、しばらくいいや、というぐらいドン・キでお腹一杯ではありますが。

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公演感想2009 | 【2009-10-18(Sun) 23:32:42】
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新国立劇場バレエ団「ドン・キホーテ」 10月15日 オペラ劇場
キトリ:寺田亜沙子
バジル:マイレン・トレウバエフ

マイレンのバジルがとーっても素敵でした。踊りも演技も素晴らしくて、とにかくそのものが素晴らしいのだけど、彼の舞台からは根っからの、一流の、性根の座った舞台人、とでもいう気概が伝わってくるところが大好き。これだから舞台を見ることはやめられない。

彼の表現はちゃんと客席に向かっていて、ばぁんと胸を開いて伝えようとしているのがよくわかる。バジルとしてのコミカルな演技のなかで、かなりの頻度で客席に向かってアイコンタクトをとっていました。“やれやれ”、“見た?今の”、という具合にせりふが聞こえてきそう。そんな彼のまなざしをしっかりと受け止め、“うんうん!”、“見た見た” と自然に言葉を返しているような、舞台上の世界に参加しているような気持ちになってくる。こんな幸せなことはありません。

踊りがまた切れ味鋭く、ためもあり、バジル独特の腕を上に身体の側面をこちらに見せて見栄を切るしなったポーズが決まって決まって。すこし減速して最後をぴたっと決めるピルエット、空中でぴかっと足が一閃ひらめいたように開脚するあのテクニック(名前がわかりません)も冴え渡り。
そして素晴らしいサポート。初役、初主演で緊張が隠せない、ちょっといっぱいいっぱい、不安定になるところもあった寺田さんを万全の体勢で支える。この日も前の方だったので、さすがに鈍い私でもいろいろと上手く助けてあげているのがよくわかりました。

寺田さんのキトリ・デビューもなかなか良かったのではないでしょうか。動揺することなく、笑顔を絶やさず、3幕のフェッテでは扇を開いて腰にあてるというチャレンジも。演技部分でプラスアルファをするほどの余裕はなかったと見ましたが、ちゃんと気の強い街娘のキトリで演技の段取りが多そうな場面もそつなくこなしていたし、場数を踏んでいけばもっと素敵になってくれそう。うまくことばがみつからないけれど、他の新国立の主演をやるような女性ダンサーと雰囲気が違うので、他の役でどんな感じになるのか楽しみですね。

脇キャストは13日とほぼ同じでしたが、キトリの友人が寺島まゆみさんと小野絢子さんでした。小野さんの踊りがどうも好みらしく、ついつい目が行きます。

そしてこの日も長瀬信夫キホーテを堪能。
メヌエットで3組のカップルが踊った後、キホーテはキトリを離れてふらふらと夢見る面持ちのまま歩いていき、サンチョにとめられます。それからサンチョに思いを語るのですが、自らの胸をさし、「こんなにどきどきしているのだよ」とでも言っている様子で、それは新発見でした。少年のように夢の女性ドゥルネシアと思い込んだキトリに胸ときめかせているのですね。そのキホーテに私がうっとり~なのでした。

貝川さんのエスパーダは常に案外ウェットな色気を放っていることを発見しました。やはり13日は輪島トレアドールしか見ていなかったらしい。輪島トレアドールの役どころも13日と変わりません。一番奥で、1幕でトレアドールたちが3組ばかり見せ場の踊りがあるところでも、その組には入らず奥で演技中、それが芳賀さんとですよ。Kでばっちり主演も張っていた二人がトレアドールで一番地味なところにいる。まあ、芳賀さんはバジルが待ってますからいいけれど、やっぱり外様だからなのかしら。
いやいや焦りは禁物。何しろ輪島さんは今シーズンからの新入りですもんね。

13日はひろみさんのキトリが牽引し、15日はマイレンのバジルが魅せました。さて明日17日の川村&芳賀組はどんなかんじでしょうか。一日おきに初台通いの明日が最後になります。

公演感想2009 | 【2009-10-16(Fri) 23:45:07】
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新国立劇場バレエ団「ドン・キホーテ」 10月13日 オペラ劇場
キトリ:寺島ひろみ
バジル:山本隆之

ドン・キホーテ:長瀬信夫
サンチョ・パンサ:吉本泰久

久々の新国立ドン・キ。これまでザハロワしか見たことがなく、劇場ダンサーの主演は初めてでした。1階席前方のとても良く見える席での鑑賞。

ひろみさんのキトリがめちゃくちゃ可愛い!踊りもはじけて素晴らしく、とっても楽しくて大満足。お姫様ではなくて街の娘なのだけど気の強さがとがって表に出ない、お転婆というよりおっとりしたところもあり品がいい。すこし大人で男らしく頼もしいバジルに見守られて、自分中心のペースでとばす憎めないお嬢さん。踊りはかなり好調だったのでは。ジャンプを繰り返しても高さが変わらず、へたれてこないしとっても軽やか。回転の軸もばっちり、スピードも自在。長い手脚が空間に美しい軌跡と残像を残す。腕の表現も綺麗。最後まで疲れを見せずに見事に踊りきってブラヴォ!
とにかく可愛くて、踊りもスカッと気持ちよくて、見ているこちらが嬉しくって幸せになる。もっとひろみさんも見なくちゃ、と思いました。

山本さんは白タイツの王子よりこうした役のほうが私は好きらしい。少々振り回され気味ながら大事なキトリをちゃんと包んでいる。バジルがおおらかに構えてついて来てくれるから、先にたってマイペースでとばせるキトリになっていたと思います。キホーテがキトリに見とれるあたりではマジに嫌そうな顔をしたりして、そんなにお調子者にはしていないようでした。踊りもなかなか良かったですが、なんと言ってもすべらかで安心して任せられる、見ていられる素晴らしいサポート!こういうカップルの図式がツボでありないものねだりなので、こんな殿方がいたらいいのに、と夢想したりして。
ふたりで踊っているときのアイコンタクトも良かったけれど、時々どんどんひとりで次に行っちゃうキトリ。そのキトリを見ているんです、山本さんのバジルは。

第3幕のアダージョではやっぱり晴れて結ばれたカップルの変化が見られて堂々としていました。キトリが“私のいとしい大切なひと”とばかりに情感をこめて艶っぽく、ちょっと試すようにバジルを見つめたりして。跪いてそれを受けているバジル。ああ、完全に尻に敷かれるな~という感じが微笑ましく。

主演カップルがここまで素敵であればかなり満足度は高くなりますが、他の重要人物も良かった。
まず長瀬さんのキホーテ。前回2007年のときも長瀬さんだったはずなのですが、今回この方の素晴らしさを改めて感じました。身のこなし、まなざし、演技の深さが違う。まずとてもしなやかで美しい身のこなし。すいっと伸ばした腕のラインの綺麗さ。自然で流れるようなマイムで語り、キトリにむけるまなざしはどこまでも優しい。夢見る様子にも説得力。勿論少々クレイジーな勘違いの暴走も嫌味なく表現されています。
第2幕の夢の場に入る前、倒れてひとり幕の前に残され、照明が赤くなったりして悪夢を見る、何者かに追われているもしくは闘おうとしている様子がすこしだけありますが、そのほんのすこしのところにも説得力がある。こちらが“お約束よね”などと思う必要はなく、納得させられてしまうのです。
夢の場でもドゥルシネア姫、森の女王にむけるまなざしの慈愛に満ちていること。初役で森の女王を踊った堀口純さん(この日が初日)を安心させるように、でもうっとりと見つめ肯いているさまにはぐっときました。
やっぱりバレエ「ドン・キホーテ」でのキホーテは素敵な老人でなくては!彼がいいとまた舞台全体が引き締まるのです。

サンチョの吉本さんも良かったです。もうすこしはじけるのかと思っていたら抑え目でしたが、その加減が絶妙で。これまで新国立のサンチョは好きではなかったのですが(あのおかっぱ髪も)、吉本さんだったら大丈夫。

失礼ながらあまり期待していなかった貝川さんのエスパーダがかなり良かったです。1幕ではトレアドールの輪島さんばかり見ていて貝川さんの踊り、街の踊り子とのやりとりなどほとんど見ていなかったのですが、2幕の居酒屋でのソロが素晴らしく。ダイナミックにしなやか。かっこいいエスパーダでした。踊りには色気もあり。演技身のこなしではまだそこまでいかないみたいでしたけれど。
という訳で厚木さんの街の踊り子はあまりちゃんと見ていない。黒と赤の衣装が似合って雰囲気あり。

キトリの友人、遠藤さん、西山さんもはつらつとしていて良かったし安心して見ていられる。
強いて言えばガマーシュの澤田さんが物足りないかも。品が良くておかしさが控えめ。
森の女王の堀口さんはさすがに緊張していた様子。足回りが不安定でした。でもゆったりとポーズをとり腕を動かすところなど、シンプルなそれだけできちんと見せ空間を支配していたので、あと2回踊るうちにもっと良くなってくるはず。

3幕の第2ヴァリエーションを踊った長田佳世さんもとても良かったです。振付を完全に自分のものとして、こうあるべき、ありたい形を表現されていました。こうしてまた活躍している姿を見ることが出来るのは嬉しいです。

さて。やっとやっと輪島さん。エスパーダたち登場の音楽が鳴り胸は高鳴る。4人数登場するトレアドール達。みつけたときの嬉しさ。にこやかに踊り、演技して舞台に存在していました。でもまだまだ控えめな感じもする。1幕ではトレアドールは8人出てきますが列の一番後ろで踊っているんです、席は前だったのに遠かった。トレアドールでも前方で踊る二人(この日は江本さん、陳さん)はキトリの友人について踊ったりして目立ちますが、輪島さんは一番目立たない役どころ。2幕の居酒屋でも出てきてくれましたが、キホーテと諍いになったガマーシュを担いで連れて行ってしまった後は出てこない。
物足りないけれどいいのです。輪島さんがまた活躍の場を得たのですから。これからゆっくり楽しみにします。

すこしだけ、と思いましたがすっかり長くなりました。あと2キャスト観るのでとりあえず書いておきたくて。前回は東バ版と比べて物足りなさを感じた新国立版も今回はそうと思わず。これはこれかな、と思います。あと2回も楽しみです。

詳細キャストは追記

“新国立劇場バレエ団「ドン・キホーテ」 10月13日 オペラ劇場”の続きを読む>>
公演感想2009 | 【2009-10-14(Wed) 23:37:57】
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ニューヨーク・シティ・バレエ2009 Aプロ 10月10日 オーチャードホール
指揮:ファイサル・カルウィ
管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団

マチネにCプロ、ソワレにAプロのマチソワを久々にやりました。Aプロも3階バルコニー。

『セレナーデ』
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
振付:ジョージ・バランシン

ケイトリン・ジリランド、スターリン・ヒルティン、ダーシー・キスラー
チャールズ・アスケガード、エイドリアン・ダンチグ=ワーリング
アリーナ・ドゥロノヴァ、アマンダ・ハンクス
ローレン・キング、ジョージナ・パズコグィン


やはりNYCBの踊る『セレナーデ』を観てみたく。これまで日本のバレエ団ではKバレエと新国立で観た事があるのみ。どちらとも今回より近い席で観ていたせいなのか、同じ日本人が踊るからなのか、NYCBの方があっさりしているように感じました。特に群舞は感情を排して軽やか涼やかに舞台を駆け抜けていく。しかし何度観ても冒頭の群舞がピシッと足を1番ポジションに開くところはゾクっとします。
新国立で観た時は、前に進みながらジャンプして上体を上げた脚の方に倒すところをけっこうはっきり倒していたのに、NYCBはあっさり。どうも全体的に上体の表情が硬めに感じましたが、どうなのでしょう。個人的に“上体”の表現に注目中なので気になるのかもしれません。

倒れて髪をほどく役がダーシー・キスラーでした。失礼ながら一際上体のウエスト辺りのしっかり感が際立つあの方はもしや、と思っていたらその通り。感情、雰囲気の出し方には存在感がありました。
目隠しされて出てくる男性がダンチグ=ワーリングで目隠ししているのがヒルティンでしょうか。ヒルティンはくっきりと美しいポーズを描き。二人のプリンシパルをサポートするソリストのダンチク=ワーリング大健闘。先に出てきたアスケガードもそうでしたが、高めに盛り上げたオールバックの髪型がどこか時代がかっていてちょっと微笑を誘われました。
Bunkamuraのキャスト発表によるとヒルティンとダンチグ=ワーリングは初配役らしい。

比較の対象を持つこの作品を観ることにより、より純粋に音楽たろうとするのがNYCBのバランシンであり、それこそがバランシンなのだ、というのがNYCBの矜持なのだろうかと思いました。
理屈はともかく、『セレナーデ』は音楽も素晴らしいし、繰り返し見たくなる作品です。

『アゴン』
音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー
振付:ジョージ・バランシン

マリア・コウロスキー、テレス・レイクレン
ジャード・アングル(セバスチャン・マルコヴィッチの代役)、ショーン・スオッツィ


とても乱暴なキャストのはしょり方をしましたが、実はこの時本当に眠くて作品をちゃんと捉えられていない。やはりマチソワするときは前日から気力体力を整えていないとダメですね。残業が続いていたのについ夜更かししてしまったのでした。
Cプロの『シンフォニー・イン~』も際立った印象を残さなかったのですが、ストラヴィンスキーとバランシンの組み合わせは今回私にはダメだったみたい。
そんな中、昼から続けて観ていてわかってきたダンサーたちには注目。アマール・ラマザールとエイドリアン・ダンチグ=ワーリングです。2人ともソリストクラス。ラマザールは昼に予定外で『ダンシズ・アット~』を踊った疲れが多少見えるようでしたが、弾性のある動きと若さが気持ちよい。エイドリアンは腕が長く、上半身が柔らかくとてもダイナミック。4人ぐらいで横並びで踊っていても一番目立ちます。気に入ってしまいつい目が追ってしまいました。
結局男性ダンサーしか見ていないのかと言われると返すことばがありません。


『チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ』
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
振付:ジョージ・バランシン

タイラー・ペック、ゴンザロ・ガルシア
(当初予定は、アビ・スタフォードとジャード・アングル)

昼のCプロ、『アフター・ザ・レイン』で負傷したらしいセバスチャン・マルコヴィッチが降板したことにより、『アゴン』にジャード・アングルが入った結果、『チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ』はまるごとキャストが代わりました。

とても良かったです。チャイパドはいろいろなダンサーでけっこう観ていますが、NYCBのダンサーが踊るとこうなるのかと納得。音楽です。過剰なタメは一切ありません。それでも音楽をぎりぎり使ってポーズまでの流れに変化をつけ、より音楽を感じられるように踊っているところは随所にありました。それがバランスがとれたりすることの誇示にはけっしてなっていないのです。テクニック自慢の男性ダンサーが踊るのを何度か見てきたせいか、ガルシアにはその切れ味はないなと感じてしまいましたが、やわらかくきちんと綺麗。ペックはよりリズミカルで表情が豊かでした。


『ウエスト・サイド・ストーリー組曲』
音楽:レナード・バーンスタイン
振付:ジェローム・ロビンズ

トニー:ベンジャミン・ミルピエ
リフ:アンドリュー・ヴェイエット
ベルナルド:ジャスティン・ペック
アニタ:ジョージナ・パズコグィン
マリア:キャスリン・モーガン
ロザリア:グレッチェン・スミス

歌手:ロバート・ローリー、レイラ・マリーハイアナー
ジェーン・ブロックマン、ジュリー・プライス、ホイットニー・ウェブスター

この作品のことをきちんと認識しておらず不用意に膝にオペラグラスだけ置いて見はじめて、音楽が鳴った途端後悔しました。泣かずに済ませられるわけがない、ハンカチ出しとけば良かった・・・
映画も見ているけれど、来日公演ではなくて主に昔の劇団四季の舞台の記憶があり。私にとって舞台芸術の入り口は「Cats」で、その後に連なる多感な頃の記憶と直結しているので本当にもう音楽だけで危険。

歌手たちはピットに。そしてダンサーたちも「Cool」、「America」、「Somewhere」は歌います。良かったです。役のあるダンサー達の活躍もさることながら、やはりこれは群像としての勝利。さっきまでレオタードにタイツでクラシカルな動きをしていた彼らが、1950年代のファッションに身を包み、ときに重心低く踊る様はとても新鮮。短い間にエッセンスを詰め込んで見事でした。
アニタのジョージナ・パズコグィンが歌も含めてとても良かったです。

NYCBとは、NYCBの踊るバランシンとは。すこしだけ見えてきた気もします。Bプロは財力不足でパスしてしまったけれど、やはり観てみたかった。アシュレイ・ボーダーとダニエル・ウルブリクトを見逃したのが心残り。
5年も間を明けずにまた来日して欲しいです。

公演感想2009 | 【2009-10-12(Mon) 23:01:50】
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ニューヨーク・シティ・バレエ2009 Cプロ 10月10日 オーチャードホール
指揮:クロチルド・オトラント
管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団

初NYCB、3階バルコニー席。

『ワルプルギスの夜』(グノーの「ファウスト」より)
音楽:シャルル・フランソワ・グノー
振付:ジョージ・バランシン

マリア・コウロスキー、チャールズ・アスケガード
アナ・ソフィア・シラー
アリーナ・ドゥロノヴァ、ローレン・キング


「ワルプルギスの夜」とは生命が復活する春の日(5月1日)の前夜祭で、グノーのオペラ「ファウスト」ではクレオパトラなどの歴史的美女が生き返ってファウストの前で艶めかしいシーンを繰り広げるが、バランシン版はオペラの物語と直接関係なく、冥界から甦って生(=性)の歓びを謳歌する女性たちを表現している。
(以上パンフレットよりざっくりまとめ)

らしい。男性はひとりのみ。解説を読まずに観てしまったのであとからそうなのかな?程度。
赤みがかった紫の衣装(チュチュではない)の群舞は美しく。最初に真ん中に来た女性(多分アナ・ソフィア・シラー)がけっこうがっちり体型なのに驚く。群舞の中でも2人、4人と合わせて6人だったりするところを踊る中の、多分アリーナ・ドゥロノヴァとローレン・キングの動きが好みだな~などど観察。
群舞のフォーメーションも日本のバレエ団慣れした(例えば新国立、東バ)目にはそれほどきっちり揃っているようには見えないけれど、動きの質は高そう。
コウロスキーは可もなく不可もなく、アスケガードは踊りが重たい。
これがNYCBでバランシンなのか~などと思いつつ。


『アフター・ザ・レイン』(パ・ド・ドゥ)
音楽:アルヴォ・ペルト
振付:クリストファー・ウィールドン

ウェンディ・ウィーラン、セバスチャン・マルコヴィッチ

ヴァイオリン:カート・ニッカネン
ピアノ:アラン・ムーヴァーマン

この作品の上演中、信じられない出来事が起こりました。
音楽はピアノとヴァイオリン1台のみ。ああ、聴いたことがある、他にもダンスで使われていた(最近観た中では金森穣「trio ~≪シアンの告白≫より抜粋」dancetoday2009)、この曲だったのか(「鏡の中の鏡」)と静かで美しい旋律に身を任せ、PDDを見つめていると、
・・・トントントントントン
明らかに大工仕事の音が響く。まさか、と思うもその傍若無人な騒音はその後もしばらく続き、作品の半ばをすぎた頃にやっと収まった。
あまりのことに劇場の人に事実を確認したところ、オーチャードホールではないBunkamura内の他の施設での工事らしい。
BunkamuraのNYCBのページ、Topixにもお詫びが出ています。

こんなことで集中を乱される自分も悔しいけれど、本当にひどかった。今、舞台で静かな世界が展開されている、4人のアーティストが真剣勝負をしていることなどまったく配慮されていない、ただの作業音。作業をしていた人々は今何が起こっているか知らなかったのに違いないのだから責められないけれど。責めるべきはBunkamura内での連携の悪さ。改善を切に望みます。舞台にアクシデントはつきものとはいえ、これはないでしょう。

でも素敵なPDDでした。男女のPDDだけれどもとてもスピリチュアル。ぜひまた観てみたい。ピアノとヴァイオリンも良かったです。この後セバスチャン・マルコヴィッチはキャスティングされていた「ダンシズ・アット・ア・ギャザリング」を降板していまい、11日の2度めのCプロでは「アフター・ザ・レイン」の代わりに「タランテラ」が入ったようなので、本当に残念。次に観られるのはいつのことでしょうか。


『ダンシズ・アット・ア・ギャザリング』
音楽:フレデリック・ショパン
振付:ジェローム・ロビンズ

イヴォンヌ・ボレ(ピンク)、ミーガン・フェアチャイルド(アプリコット)、サラ・マーンズ(グリーン)
キャスリン・モーガン(ブルー)、ジェニファー・リンガー(藤色)
ジャード・アングル(パープル)、アントニオ・カルメナ(れんが色)、ホアキン・デ・ルース(ブラウン)
アマール・ラマザール(グリーン)、ジョナサン・スタフォード(ブルー)

ピアノ:スーザン・ウォルターズ

今回どうしても観たかった作品。
正確な時は特定できないけれどまだ思春期の頃、全編だったのか抜粋だったのか多分NHKで放送されたものを見たことがあります。その頃もうモダンを踊っていたので、「こういうのがもっと観たい!(多分無理だけど踊ってもみたい・・・超身の程知らず)」と感激して作品名と振付家をメモし、記憶していたのです。
今回ようやく再会を果たして、その昔に印象に残ったのはノイマイヤーの「椿姫」でも同じ曲が使われている、3組のカップルで踊るところなのがわかりました。
確かに長いし、少々睡魔がやってきたときもありましたがやはり素敵。特に深い意味を見出そうとは思わず、その時その時に展開するシーンを感じて楽しみました。
ダンサーで目を引いたのは何といってもホアキン・デ・ルース。ブラウンは見せ場の多い美味しい役。それがまた軽快にきっちり決まってなんとも魅力的。同じく動きっぷりが目に快かったのはミーガン・フェアチャイルド。キビキビとよく音に乗る。サラ・マーンズは上半身が肉感的で雰囲気たっぷり。ピンクは出番が多いのですがイヴォンヌ・ボレはそれほど好みではなかった。ジェニファー・リンガーが一番大人っぽい。アマール・ラマザールは急遽セバスチャン・マルコヴィッチの代わりに入りましたが、パンフレットの写真など見ると元々持ち役。弾むような若さが素敵でした。
ピアノの演奏もとても良かった!
また是非観てみたい作品です。


『シンフォニー・イン・スリー・ムーヴメント』
音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー
振付:ジョージ・バランシン

Ⅰ.スターリン・ヒルティン、ミーガン・ルクローン、アビ・スタフォード
アダム・ヘンドリクソン、エイドリアン・ダンチグ=ワーリング、アマール・ラマザール

Ⅱ.アビ・スタフォード、アマール・ラマザール
Ⅲ.全員

ストラヴィンスキーの少々不安を煽るような追いつめる音楽に、モダンな幾何学模様を描く、といった印象。
男性ダンサーが群舞クラスもたくさん出てきて、何人かずつ踊ってくれるのを楽しんだりしました。ミーガン・ルクローンもアビ・スタフォードも上半身がっちり体型。レオタードにピンクタイツ、レオタードと同色のベルト、という年代を感じる(初演は1972年、衣装が誰かについては言及なし)、今となってはとっても微妙なスタイルがマイナス要素ではあるけれど。
音楽そのものになり、たくさんのダンサーが踊るのはやはり迫力がありました。

バランシン作品はあまり観ていなくて「知らない」という意識が強く、バランシン作品を踊ったことを指して「これはバランシンじゃない」などどいう言葉が出ると、「わからなーい」とお手上げ状態に陥っていました。たった1公演観た位ではまだまだで、ちょっとなるほどといったところでしょうか。

公演感想2009 | 【2009-10-12(Mon) 21:19:47】
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東京バレエ団 マカロワ版「ラ・バヤデール」 9月27日 東京文化会館
ニキヤ:斎藤友佳理
ソロル:後藤晴雄
ガムザッティ:高木綾

斎藤さんのニキヤはもっと情念渦巻く感じかと思っていたら、自分の愛の世界に生きる浮世離れした女性でした。ガムザッティへの感情も憎しみには見えなかったし、ソロルの裏切りにも恨みを見せない。
最近の舞台だとヴェールを取られた瞬間のザハロワ(新国立)の強い表情が印象に残っていますが、斎藤さんは夢見るような笑みを浮かべているのが印象的。その夢見るような笑みがずっと続くのです。何故この人はずっと微笑んでいるのだろうと不思議に思い自分なりに考えを巡らして出した結論が、彼女は別世界にいるのだということ。ただソロルを愛している、その自分の気持ちを強く持ち信じ揺らがない。ソロルの愛も信じているけれど、現世のしがらみに飲み込まれる彼を許している。

大僧正に迫られた時は信じられないと驚きあきれ、相手にしないけれども、ガムザッティとの対決ではさすがに動揺。ガムザッティへの最初の態度は “あなたは違う世界に住む人、でも私はうらやましいとは思いません。私にはソロルがいるから、ソロルへの愛があるから” とでも言いたげ。ガムザッティに一度顔を上げられて、彼女が見つめはっとした後、すぐにまた顔を伏せてしまうのも印象的でした。言外の軽い軽蔑を感じる。その自信が揺らぐ事実を目の当たりにするのだから動揺もするし、刃物も振りかざすでしょう。でもその後婚礼式で踊る辺りではもうわかっていたのでは、ソロルが自分を捨てざるを得ないことを。

影の王国でもずっと笑みを浮かべていて、ソロルと踊り続けた最後にははっきりと微笑む。終始申し訳なさそうに身をよじって苦しみつつ相手をするソロルに、いいのよ、と許しを語っているようです。
第3幕で神殿に現れ、聖なる火に誓ったことを思い出してとマイムをするのも、「思い出して」であって、「誓ったでしょう!」という詰問ではない。そしてやっぱりこのニキヤもソロルを連れて行く。
周りの誰にも惑わされない、別世界のニキヤです。エキセントリックですらある。別世界にいることで自分を守っているのかもしれない。なるほどではありますが、共感しやすいのは吉岡さんでした。
踊りは万全だったのではないでしょうか。ちなみにずっと笑みを浮かべた表情が歯を見せ続けているのが気になりました。他のダンサーでもたまにいるけれど好きではない。

後藤さんはずっと悩み苦しみ続け選択ができないままに流されて最後を迎える、若いソロル。
最初のニキヤとの幸福なPDDでは情熱的に甘やか。恋する男としての臆面もない甘さの表現が東バで一番似合うのはこの人。もうニキヤを下にもおかず賛美し続ける感じ。
ガムザッティと引き合われたとき、後藤さんはガムザッティと正対していません。最初から身体が拒否している。他の美しい女が目に入らないほどこのソロルはニキヤに盲目。チェス卓をはさんで向かい合う時もあまりガムザッティを見ずに、どうしたらいいんだと悩み続ける。
婚約式でニキヤが登場した時の動揺ぶりもすごい。かたわらにガムザッティがいることなど完全に無視。ガムザッティに促されるまで座ろうともせず、苦悩に身悶える。ニキヤが毒蛇に倒れた後ラジャに促されて去るとき、最後の最後にちらりと振り返ったのが印象的でした。

その後もずっと苦しみ続けます。影の王国でも申し訳ないという感情が丸出し。そうして自ら進んで決断をすることが出来ずに、ニキヤを失い死なせてしまった苦しみに身を任せて流されるまま、最後を迎える。あの世でニキヤに救われるのですね。木村さんのソロルがおそらく一度はガムザッティを選ぶことを決断しているのとは対照的です。後藤さんのソロルの目にはガムザッティは一度も映っていないも同然でしょう。
踊りは良かったです。気合が入って好調。

高木さんのガムザッティは美人で高慢で強くて怖い。登場からソロルとチェス卓を囲むあたりの迫力は凄かったです。ソロルに惹かれているようでもあるけれど、それを可愛らしく出したりはしない。我儘お嬢様全開です。終始上に立つものの存在感。ニキヤとの対決でもその強さが表に出る。ソロルは私のもの、神殿の舞姫風情が何を言う。だから最後の復讐を誓うところもはっきりと決断していて鮮烈。
婚約式でニキヤが登場した時も、自分を無視し続けるソロルに苛立ちを隠せない。あまり笑顔を浮かべることはなく、ソロルに自分の方を向かせて手を取るように仕向ける。
影の王国の夢から覚めたソロルに、これから結婚式だと赤い豪華な衣装で登場し迫ってくるところも威圧感がありました。それでも結婚式でのソロは哀切。これまで何不自由なく、手に入るもののなかった令嬢がままならない人の感情を前に揺れている。それでもしおらしくは終わらず誇り高い。

この日は木村さんがラジャだったのでそちらも観察。演技が細かい。婚約式で華やかに踊る娘に送る父の視線、感慨無量のマイムなど。男手ひとつで手塩にかけて育ててきた自慢の愛娘?
柄本武尊さんは惑える大僧正。悪意や腹黒さを感じさせない。
影の王国のヴァリエーション3つはこの日の方が良かった。やっぱり西村さんはソリストの中でも別格。彼女の踊りを見ていると、自分を美しく見せられる、こうありたい、こうあるべき、という次元まできちんと自分を追い込んで鍛錬しているのがわかります。
大抜擢の八木さんのブロンズアイドルも清々しくて良かった。

この日は3階正面だったので影のコールドを上から眺めることができました。新国立劇場バレエの2008年の上演では身体が震えるような感動を味わったのだけれど、東バではそこまでいかず。良く揃っているのに何故なのだろうと思いあぐねています。照明がだいぶ違うのはわかる。新国立はかなり青白く暗め。スロープも一段ではない奥行きがある。24人ではなく32人だったかもしれない。東バはというかマカロワ版はすこし黄色みのある白さで割と明るい。あとアラベスクの後上体を起こし、両腕をアン・オーにして反るところの反りが控えめ。上体の柔らかさが今ひとつ感じられない。その辺の違いなのだろうかなどと考えています。

斎藤さんが舞台全体を牽引し、後藤さんがそれを追い応え、高木さんも健闘した、脇キャストも含めて充実していた公演だったと思います。

追記はキャスト詳細

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公演感想2009 | 【2009-10-04(Sun) 15:56:35】
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東京バレエ団 マカロワ版「ラ・バヤデール」 9月26日 東京文化会館
ニキヤ:吉岡美佳
ソロル:木村和夫
ガムザッティ:田中結子

26日と27日の2回見ました。マカロワ版は2007年秋にロイヤルバレエで観ているし(ヤノウスキー、ボッレ、ガレアッツィ)、DVDもロイヤルバレエとミラノ・スカラ座バレエの両方持っているので割りと慣れています。
26日は1階のRブロック、27日は3階正面でした。オペラグラスは27日のみ。右肩の負担軽減のためにそうしたのですが、やはり26日の情報量が少ない。たまには顔の表情もきっちり追わないと入り込みにくいですね、特に「ラ・バヤデール」のようなドラマチックな作品では。

吉岡さんは登場の神殿の舞姫としての踊りから、ソロルをひとり待つときの踊り、愛し合う二人の踊りまでの変化が見事でした。舞姫として踊っているときは無心。ソロルを待つときはひとりの恋する女性の甘さと艶やかさがあり、ソロルが現れてからは愛し愛される喜びにふるえている。徐々に解放されていくのがとてもよくわかりました。それでもどこかに抑制が残る可憐さは吉岡さんの個性で美点。私は好きです。
大僧正に迫られた時は本当に困惑している。拒絶が強すぎない。ニキヤの方が偉そう、と思うことも多いのですがそれがなかった。
ガムザッティとの対決ではまさに追いつめられたけものが必死の反撃に出るというおもむき。婚約式のニキヤのソロはいつもソロルとガムザッティばかり見てしまってあまり印象に残っていません。悲しげでただ美しかった。
影の王国では伏し目がちに、表情はずっと抑えられていました。ソロルの夢に出てくるニキヤは怒りも嘆きもなく、ただそこにいるのでしょう。
神殿での結婚式に出てくるときもそれは同じ。ソロルが見る幻でもあるけれど、きっとずっと彼を近くで見守っていて、神の怒りが神殿を崩壊させた時に彼の魂を導いていく。
踊りはとても良かったです。吉岡さんのニキヤは姿かたちも心根も美しく、ひとりの男性を愛しぬく強さを持ち、運命を受け入れた女性。とても好感が持てました。

木村さんは大人のソロルでした。そう気づいたのは27日の後藤さんを観てからなのですが。
まず登場の虎を狩った、というマイムがびしっと決まってちょっとおおっ!と思いました。ソロルってここでちゃんと自分が狩ったぞと言っていたのですね。ニキヤのいる神殿に向かって投げキッスをし立ち去っていくあたりから、いとしいひとにまっすぐに愛全開。ニキヤとの逢引はもうラブラブモード炸裂!ここが現世での二人の愛の絶頂で幸福感一杯。このときだけは愛に生きる男ソロル。リフトは1回失敗しちゃいましたが。顔の表情もあるでしょうが、身体全体がしなやかにおののくように愛の喜びをうたうのです。素晴らしかった。

ガムザッティに引き合わされた時の木村さんは身体の正面で彼女を見つめはっとする。まさにその美しさに目を奪われた様子。ジャンベの踊りが展開する中、二人でチェスの卓をはさむところもにこやかに談笑。自分にはニキヤがいる、という迷いより目の前のガムザッティの魅力にけっこう参ってしまっていて、彼女に対して失礼に当たる振舞いはしないように心がけているようでもありました。
婚約式の二人にアダージョではお約束のひとりニキヤを思って迷い悩むシーンもありましたが、ニキヤが踊るために登場してからもかなり動揺しつつもガムザッティを無視はしていない。ここでの田中さんのガムザッティが終始にこやかにソロルばかりを見つめるのとあいまって、ガムザッティはソロルを信じているし、ソロルも概ねこの結婚を受け入れていたととれます。ニキヤが近づいてきたときにガムザッティの手にソロルが口づけするシーンがありますが、ここもガムザッティがわざとらしく手を差し出したのではなく、ソロルが自分から手を取っていました。ニキヤに対して、自分はこの人と結婚すると告げてでもいるかのように。

ニキヤが毒蛇に倒れたときは駆け寄るけれども、ラジャに促されてしっかりと背中を向けて去っていく。これはマカロワ版の演出でもあるのでしょうが、それでも最後に後藤さんが振り返ったのに対し木村さんは振り返らなかった?見逃したかもしれません。ここはソロルには選択の余地がないという演出と理解すればいいのでしょうか。
ニキヤが死んで初めてやはり自分には彼女以外いないということに木村ソロルは気づく。逃れられない運命に仕方なく従いつつもその様は苦悩に彩られています。悩む木村さんは美しい。しかし影の王国での木村さんの記憶がほとんどないのです。困った。実は第3幕も同様で。もはや私には木村さん共鳴増幅装置はないのかもしれない。元々なかったのかなー、好きなのに。夢から覚める前、寝台に横たわる様子が余りにも色っぽくてどうしようと思いつつ見つめていたのは覚えているのですが。
踊りは好調そうなところと、今ひとつのところの両方が入り混じり。でもやはりこの方の踊りの美しさは東バ一だと思います。うっとりです。

田中さんのガムザッティは誇り高く賢そうな令嬢ではありましたが、我儘高慢そうにはあまり見えませんでした。そういう役作りなのかもしれない。何しろチェス卓をはさんでの二人の会話が、二人とも会話そのものが楽しいという雰囲気をかもし出していました。ガムザッティもまたソロルにすっかり恋している。ニキヤとの対決は型通り。ただ最後の復讐を誓うところが弱い。明確な殺意までは伝わってこなくて、それが意図したものなのかどうか。婚約式でニキヤが踊っている間も、ニキヤをあまり見ないし、彼女に対する憎しみの感情も出さない。ただソロルをにこやかに見つめている。毒蛇に噛まれた後のニキヤに指差されてどう反応したのかはちょっと思い出せず。
第3幕の結婚式でのガムザッティのソロがマカロワ版の特徴で、これがあるためにガムザッティという女性の内面に想像をめぐらすことができ、ただの敵役にはとどまらせないのが魅力。ここは彼女の哀しみのソロと私は捉えています。彼女はすべてを知っていて、それでもソロルを愛するがゆえ、彼と共に居たいがゆえに結婚を望む。ソロルの心が自分にはないことを知りながら。繰り返されるアン・ドゥダンのピルエットが彼女もまた運命に翻弄されるひとりの女性であることを伝えて印象に残ります。
田中さんは総じて踊りがくっきりと安定していて良かったけれど、ガムザッティとしては薄味。やはりプリンシパルの吉岡さん、木村さんと比べればまだ弱い。3人が拮抗するとバヤは格段に面白くなるのでちょっと残念。

バヤはチェックしたい登場人物が多く、婚礼式のニキヤの踊りの場面など目が幾つあっても足りないところの連続で楽しいのだけど困る。後藤さんの大僧正はほとんど観察できていません。高岸さんのラジャにいたっては登場のところぐらいしか覚えていない。
高橋さんのマグダヴェーヤは良かったし、小笠原さんが苦行僧にいたのも見逃してはいません。ジャンベの二人では大好きな西村さんと乾さん。ポーズの残像がよりくっきりと残り目に快いのは西村さんでした。
松下さんのブロンズアイドルは良かったです。実は彼はあまり得意ではないのです。バレエ団が重用したいダンサーと自分の好みが中堅、若手では乖離しているのが、いちおうとはいえ東バファンとしては苦しいところ。でもこの日の松下さんには納得でした。

影の王国のコールドもしっかり揃っていてとても良かったと思います。ヴァリエーション1,2,3はもう少しという感じ。
全体としてよい公演だったと思います。今ひとつ世界に入り込めなかったのは自分の問題。この頃東バの公演を無心で観ることができないでいるのです。ただ客席に座って、目の前で繰り広げられることに心を開いてとりあえず受け入れる、そんな境地にいた方が幸せなのに雑念が多い。次回は仕切り直しです。

追記にキャスト詳細

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公演感想2009 | 【2009-10-03(Sat) 23:41:30】
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