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2004年春、山岸涼子の「テレプシコーラ」を読み
同年8月東京バレエ団40周年記念ガラからバレエに通い始める
2006年7月7日ブログ開始

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新国立劇場バレエ団 バレエ・オープニング・ガラ
1ヵ月ブログを放置していた間に自分のバレエでの初舞台がありました。それはさておき。

新国立劇場バレエ団による バレエ・オープニング・ガラ

第1部:『アラジン』から「序曲」「砂漠への旅」「財宝の洞窟」
振付:デヴィッド・ビントレー
音楽:カール・デイヴィス
装置:ディック・バード
衣装:スー・ブレイン
照明:マーク・ジョナサン

アラジン:八幡顕光
プリンセス:小野絢子
魔術師マグリブ人:マイレン・トレウバエフ
オニキスとパール:さいとう美帆、高橋有里、大和雅美、江本拓、菅野英男、福田圭吾
ゴールドとシルバー:西川貴子、丸尾孝子、貝川鐵夫、清水裕三郎
サファイヤ:湯川麻実子
ルビー:長田佳世、厚地康雄
エメラルド:芳賀望、寺島まゆみ、寺田亜沙子
ダイヤモンド:川村真樹


やんごとなきお方のご臨席を賜ったゆえ開放されなかった席多し。チケット確保に出遅れ4階席での鑑賞でした。
『アラジン』のこれでもかの宝石満載シーンはやはり楽しかったです。中でもサファイヤの湯川さん、ルビーの長田さんの存在感、踊りが圧倒的。特に長田さんが素晴らしかった。『パゴダの王子』さくら姫が楽しみです。

第2部:<バレエ パ・ド・ドゥ3選>

『眠れる森の美女』第3幕より グラン・パ・ド・ドゥ
オーロラ姫:小野絢子
デジレ王子:福岡雄大

この日いちばん幸せになれた演目。二人とも出色の出来。小野さんはちゃんと結婚式の大人になったオーロラ。しっとりとした落ち着きにフレッシュさも残し、踊りは磐石、ポーズにも余裕あり美しいラインと身体が語る。今のところ新国立劇場バレエ団には眠り全幕上演の予定がないけれど、とにかく早く小野さんのオーロラ全幕を実現して欲しい。来シーズンあたりどうでしょう。BRBの衣装装置を借りてピーター・ライト版の上演を切望!
福岡さんもとても良かった。サポートも危なげなかったけれど何よりヴァリエーションが音楽的で素晴らしく。デジレのヴァリエーションはすごい大技が入っているわけではないと思うけれど、ここは音楽とピタっと決めて、ジャンプはやわらかく、空間のポーズをきっちり決めて、とこうあって欲しいと思うところを余さず決め、どうだ!ではない鷹揚さと品を保って最高。全幕ではないけれど日本人男性ダンサーのデジレにここまで幸せにしてもらったのは初めて。シンデレラ全幕の王子も見ているけれど、ダンスール・ノーブルとしての進化を感じました。


『ロメオとジュリエット』第1幕より バルコニー・シーン
ジュリエット:本島美和
ロメオ:山本隆之

山本さんは王子よりこういう役の方が素敵。若さの疾走より大人っぽいところが勝るロメオ。アチチュードが綺麗でした。
本島さんは上半身の硬さと顔の表情がアンバランスで、シーンの間の変化が平板。

『ドン・キホーテ』第3幕より グラン・パ・ド・ドゥ
キトリ:米沢唯
バジル:菅野英男

ものすごく派手でスカっとする、というのではなく、でもそれぞれにきっちり決めていて、大技に比重をかけない分アダジオがすみずみまで丁寧で幸福感をもたらしてくれました。個人的な好みでふたり揃ってランベルセで回るところをないがしろにして欲しくないのだけど、通り過ぎずにちゃんと見せてくれたので嬉しく。
菅野さんのシソンヌは何度でも観たい見事さ。脚の開く角度が大きく音楽と跳躍の頂点でぱあっと開くのが気持ちよく合っている。目に快し。
米沢さんはキトリとしては初々しい感じでしたが、フェッテは扇を高くさし上げて開いたり閉じたり、というのをやっていたと思います。客席から手拍子が出てしまったのが嫌でしたが。

『シンフォニー・イン・C』から最終楽章

第1楽章 長田佳世、福岡雄大
第2楽章 川村真樹、貝川鐵夫
第3楽章 寺田亜沙子、輪島拓也
第4楽章 丸尾孝子、古川和則

実は初めてこの演目を観ました。新国立劇場バレエ団の個性にバランシンは合っているのではないかと思います。ここでも長田さんの輝きが圧倒的。久々に輪島さんが見られたのも嬉しく。『アラジン』でもそうだったけれど、川村さんはこの日はちょっと不調だったのかな、という印象。丸尾さんは堅実な感じがするけれど、華と伝える何かが足りなくていつも印象に残らない。
キャストを書くのを省略しちゃいましたが、それぞれの楽章の2番手ぐらいの若手男性が、誰と識別できないけれど総じて良かったです。このあたりの層が充実して来ているのかも。
バランシンは見るたびに、自分がもっと映像を見てバランシン鑑賞経験値を上げないとという気分になります。

実に華やかで楽しく充実した良い公演でした。始まるシーズンとバレエ団のこれからへの期待が高まるオープニングですね。

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公演感想2011 | 【2011-10-07(Fri) 23:52:13】
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東京バレエ団「ジゼル」 8月18日 ゆうぽうとホール
1ヵ月近くブログを放置してしまいました。
8月に観たバレエは東京バレエ団「ジゼル」のみ。2日目の方です。
とりあえず主役二人の印象だけ書いてみます。

ヴィシニョーワは凄かったです。こちらもハナから彼女に普通のジゼルは期待していませんが、一幕のアルブレヒトとの最初のところから、違う世界につながっている娘でした。うっとりとゆっくりあたりを見ますように頭をめぐらせ、彼女だけに見えるものを感じている。初々しさがありながら、妖艶さものぞかせる、それは勿論無意識に。花占いのところも面白くて、がっかりうなだれるのではなく、何故なのかしら?そんなことがあるのかしら?という風。
狂乱の場で目に付いたのは、「彼がドアをノックして・・・」というところから、幸福な時を思い出すのが始まっていたこと。スタンダードなのかもしれませんが、これまで何度も「ジゼル」を見てきて今回初めて気がつきました。ここでもウィリたちに呼ばれているのが彼女だけに聞こえる、見えるのが明らかでした。
彼女の独特さが際立ち、引き込まれて涙する、というよりどうしてこうやっているのかな?という距離感があったので、物語の世界に没入するという風にはなりませんでした。
第二幕は毅然とした強さの感じられる、感情をあまり出さずにアルブレヒトを守り通すジゼルでした。ミルタにも懇願しません。で、終わってみて、形どおりにジゼルはアルブレヒトを守り通したけれど、この一風変わった娘は本当にアルブレヒトを愛していたのかしらん?もし結ばれることがあっても、ジゼルの方から飽きちゃうのではないかなどと不埒なことを思ったのでした。

踊りは余裕を持ってコントロールしていました。今回個人的に上半身と腕に注目していたのですが、素晴らしくしなやかで力を感じない自在な動き。非常に雄弁でした。腕そのものが生きもののような。肩はたくましくすこしいかった感じなので、理想のバレリーナ像からは少々逸脱していると思いますが。
すごく好き、というのとは違うけれど、どんなふうに見せてくれるのかな、という期待がつきないダンサーです。

さてチュージン。来年2月のボリショイ来日、彼のジークフリートをどうやって観に行こうか思案中。
ダンチェンコの来日の時は彼に当たらなかったので初めてでしたが、かなり素敵。彼の舞台をもっと見てみたいと思っています。
まずは踊りがとても綺麗。アントルシャ・シスなどの細かい脚捌きもすごいし、ジャンプも高く余裕がある。ジュッテ・アントルラッセであそこまで脚が上がっちゃう人はそういないのでは。あそこまで上がらなくても十分絶品だと思うのですが、力みなく上がってました。テクニックに隙がなく、またすべてをとても丁寧に踊っている。
そしてたたずまい。適度にノーブルで、ナルシスティックにならないのも好印象。
演技にもまた隙がない。ちゃんと舞台上でアルブレヒトを生きている。チュージンの場合、どちらかというと純愛路線。少なくとも遊びなれたお貴族様の火遊びには見えませんでした。ヴィシニョーワがアルブレヒトといるのに自分の世界に入っているように見えるときでさえ、愛情に満ちた優しいまなざしを向けていて素敵。
村娘の素朴さに惹かれたというより、村娘でありながら妖艶でエキセントリックな魅力を放つジゼルに真面目に愛を捧げてしまったという趣でしょうか。

冒頭のウィルフリードとのやり取りで驚いたことがひとつ。お止めくださいと諌めるウィルフリードはなんと薬指をさすマイムをし、あなたには婚約者がいるではありませんか、とはっきり言っていたのです。ここまで具体的に、それこそ物語の冒頭でこの男は婚約者がいるのに村娘にちょっかいだしてるんですよ、と宣言しているのを見たのは初めて。実際には「ジゼル」を見る人の大半がその設定を知っているとしても、こうもはっきり言うのはどういうことなんだろうと思いを巡らさざるを得ません。
それを見て露骨にいやな顔をするアルブレヒト。現実をわかっていて、ジゼルに向かう気持ちを止められない。つまりはアルブレヒトはわかっていた、ということをより強調しているのでしょうか。チュージンのアルブレヒトはまだ若く恋愛に対してそれ程余裕がないのでは、と思わせます。それはジゼルと会っている時にも現れていて、花占いをするとき、ベンチに片足を乗せて上から見下ろすとすこし馬鹿にした感じがでますが、チュージンはジゼルの目の高さに、多分跪いていたと思います。
第二幕の入場も嫌味なく素敵だったし、打ちひしがれるのでも、生かされた事実を悟るのでもない、それをわかって悲しみの中にいるという最後も印象に残りました。マイムではないところの、演技の部分が自然で型にはまっておらず、ジゼルよりはアルブレヒトの感情に寄り添いやすいという結果に。

踊りもいいし演技もいい、そして姿かたちと雰囲気たたずまい、舞台での自分の出し方の加減も私にはかなりストライクゾーンです。

ヴィシィニョーワの独特で強いジゼルには中和しつつ破綻しないチュージンの様な相手もいいのかも、と思いました。二人の恋愛濃密度が低めではありますが。

公演感想2011 | 【2011-08-27(Sat) 22:59:11】
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≪マニュエル・ルグリの新しき世界Ⅱ≫Bプロ 7月18日 ゆうぽうとホール
ルグリとアイシュヴァルトのオネーギンPDDにぽたぽたと落涙し、緩んだ涙腺はフィナーレ、大好きな「威風堂々」の泣きが入る旋律のところで再び壊れた。
彼らはこうして来てくれた。私は最終日のみの参戦だったけれど、誠実な良い舞台を本当にありがとう。
ずいぶん普通の生活をするようになったと思っていたけれど、“来てくれた”だけでこんなにも胸が一杯になってしまうほど、“普通ではない”ところにまだ自分はいるのだ。

「ビフォア・ナイトフォール」
振付:ニル・クリスト 音楽:ボフスラフ・マルティヌー
ニーナ・ポラコワ、ミハイル・ソスノフスキー
高村順子-宮本祐宜、佐伯知香-松下裕次、吉川留衣-長瀬直義


音楽が印象的。生演奏でもう一度観てみたい。
ポラコワとソスノフスキーの緊迫感のあるPDDはなかなか良かった。

「ドン・キホーテ」
振付:マリウス・プティパ/ルドルフ・ヌレエフ 音楽:レオン・ミンクス
リュドミラ・コノヴァロワ、デニス・チェリェヴィチコ


ヌレエフ版なのでより親しんだロシア寄りの振り付けとはけっこう違う。慌てず騒がず大人っぽく粋。でもチェリェヴィチコは可愛いバジル。コノヴァロワは大人っぽい艶のあるキトリ。二人のバランスはちょっと面白い。チェリェヴィチコにテクニックがあるのはわかったけれどすこし力みを感じる。一生懸命さととってしまえば、大人のキトリを前に精一杯粋に振舞ってみてもやっぱり可愛いーに帰結してしまったりする。楽しかった。

「モペイ」
振付:マルコ・ゲッケ 音楽:C.P.E.バッハ
木本全優


ほっそりとしなやかな身体。そのままにやわらかくしなるようによく動く。4月にスカラ座でフォーゲルの「モペイ」を見たばかりだが、印象がかなり違う。すこしの生真面目さとそれでいて縛られない自由さ。木本さんは勿論初めて見たけれど、手脚が長くまさによく言われる“日本人離れした”体型。彼らの世代では珍しくないのかもしれない。そして動きそのものがとても綺麗。正確さと優美さ。
彼ぐらいの細さや長さを好ましく思ってしまうのは個人的な嗜好だけど、やはり東洋人だなと感じる。そこにある身体が発する空気が違う。失礼ながら美男子ではないけれど彼ほど動きそのものの力があれば今後かなりの活躍ができるのでは。彼のバジルが観たいと本気で思った。

「椿姫」より 第2幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:フレデリック・ショパン
マリア・アイシュヴァルト、フリーデマン・フォーゲル
ピアノ:三原淳子


いつもクールな印象のアイシュヴァルトがずっと幸せそうにほんのりと笑みを浮かべている。彼女なら大人でそう簡単には崩れないマルグリットだろうと予想する。だからこそ、この幸福の絶頂をすこしおずおずとぎこちなく、ひとつひとつ確かめながら実感してやがて全身をアルマンに預けていく、感情をまっすぐに出していくのが切々と伝わってくる。とても素敵だった。
フォーゲルは激情間欠泉といった趣。朴訥さと甘さがないまぜになる。それはそれでリアリティがあるけれど好みではなかった。感情の流れが読み取りにくいのと、アイシュヴァルトとのつながりが希薄に感じられた。

「クリアチュア」
振付:パトリック・ド・バナ 音楽:デム・トリオ(トルコの伝統音楽)、マジード・ハラジ、ダファー・ヨーゼフ
上野水香、パトリック・ド・バナ


ド・バナの振り付けは嫌いではないけれど、すこし眠気に襲われてしまった。猛暑のせいだと思っておこう。
なかなかドラマチックに興味深くもあり。上野さんは古典より現代ものの方がずっといいと思う。

「マノン」より 第1幕のパ・ド・ドゥ
振付:ケネス・マクミラン 音楽:ジュール・マスネ
ニーナ・ポラコワ、マニュエル・ルグリ


ルグリ(様をつけたくなる)はやはり美しい。もうちょっとした動きだけで、そのパッセひとつで十分というぐらい。ポラコワはずっと明るい笑顔の少々健康的すぎるマノン。マノンよりルグリの、依然として若々しく動きは衰えず美しくサポートは完璧、デ・グリュであるのを堪能したひととき。


「サイレント・クライ」
振付:パトリック・ド・バナ 音楽:J.S. バッハ
パトリック・ド・バナ


「クリアチュア」よりさらに睡魔に襲われる。
ド・バナはソロより誰かと絡んだ方が面白い。

「グラン・パ・クラシック」
振付:ヴィクトール・グゾフスキー 音楽:フランソワ・オーベール
リュドミラ・コノヴァロワ、ドミトリー・グダノフ


二人とも白い衣装。コノヴァロワは上半身にすこしボリュームを感じる。テクニックキレキレで見せますよーというのでないグラン・パ・クラシック。やることは概ねやっているのではないかと思うけれど。
グダノフももう少し、かな。ロシアの王子は立ち居振る舞いだけでもいいなあと思うけれど。コーダのディアゴナル、ブリゼ?でいいのかな、そのあたりの細かい脚さばきがなかなか綺麗。ジャンプしている高さはそれほどないのにちゃんと動きが収まっているのね、と思った。

「カノン」
振付:イリ・ブベニチェク 音楽:オットー・ブベニチェク、ヨハン・パッヘルベル
デニス・チェリェヴィチコ、ミハイル・ソスノフスキー、木本全優


この作品は大好き。3人とも動きはそれぞれにクリアで大きく美しい。でもその身体の存在感がそれぞれ違って面白い。木本さんは細いせいもあるが同じ東洋人だと感じる。草食系とでも言えばいいのか。チェリェヴィチコが直接的な肉食系を思わせ、ソスノフスキーは影のあるワイルドさ。3人がそれぞれ楽しそうに、ときに絡みながら、男女の情などといった世界を超越したところで踊り続け、そこから何かが立ち上がり伝わるのがこの作品の魅力。メンバーが変わればまた違ったものが感じられる。とても楽しかった。良かった。
「La souffle de l'Esprit」全編もまた観てみたい。

「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」
振付:ジョージ・バランシン 音楽:P.I. チャイコフスキー
バルボラ・コホウトコヴァ、フリーデマン・フォーゲル


コホウトコヴァがとても素敵。録音でなかったらどんな感じなんだろう。それほど速くなく、情緒薄くかっとばす風でもなく、ウェットになるぐらい緩急をつけるのでもなく。彼女も実は初めて見たのだが、ぎすぎすしない余韻のある踊りに魅力があり好みだった。Aプロのマノンも観てみたかった。
フォーゲルはこちらでもスイートで、アチチュードやアントルラッセで彼の動きの美しさを堪能。ポーズの瞬間、すこし首を傾げるような彼独特の部分もけっこうというかちゃんとあり。アダジオでは音楽に感極まったような様子も見せ、若干の過剰感も。好みの分かれるところでもあろうが、この動きの美しさと甘さを伴った彼の魅力に今日は降参。


「オネーギン」より 第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・クランコ 音楽:P.I. チャイコフスキー
マリア・アイシュヴァルト、マニュエル・ルグリ


アイシュヴァルトに釘付けだった。2005年のシュツットガルト・バレエ来日、ルグリと踊ったときは観ているけれど前回2008年のときは彼女のタチヤーナを観なかった。その後東京バレエ団、スカラ座と「オネーギン」は観ていたけれど、悪くはなくともこれぞというタチヤーナは見ていなかったのだと悟る。こういうタチヤーナが見たかったのだ。
手紙を受け取っての動揺、オネーギンが現れたことへの震え。拒絶、揺れる心、決死の拒絶、やはりその手を取ってしまう、求め身を投げ出しつつも常に引き裂かれる心。手紙のある机に近づくときの気持ち。机と鏡だけが彼女の守るべき聖域で、そこに近づいて自らを律しようとする。けれどどれほどオネーギンを求めているか。ひとつひとつ、些細に思える動きにも意味が宿り、アイシュヴァルトのタチヤーナの感情に飲み込まれてついていく。息をつめて、手を固く握り締めて。
最後オネーギンをはっきりと拒絶するところ、彼女はするりとオネーギンの手を逃れて机に近づき、手紙をつきつける。
手紙を取る前にオネーギンから逃れる時にはっきりと手を振りほどくスカラ座のエマヌエラ・モンタナーリとの違い。このあたりは多少余地があるのだろうか。
さすがシュツットガルトのバレリーナと言わざるを得ない。かの地で観る事がかなったらどんなに幸せだろうか。

ルグリもまた素晴らしかった。崖っぷちで引かない決意を湛えていながらも優しさが十分に残っている。強引さよりすべてを投げ出して懇願する哀れともいえる姿と失われない優しさ。彼の「オネーギン」全幕を観ることはもうかなわないのだろうか。

2012年のウィーン国立バレエの来日がとても楽しみ。

公演感想2011 | 【2011-07-18(Mon) 23:14:00】
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東京バレエ団「白鳥の湖」 6月18、19日 など
ご無沙汰しております(笑)
東京バレエ団の「白鳥の湖」、6月18日、19日、新国立劇場バレエ団 マクミラン「ロミオとジュリエット」6月26日、と観ておりました。感想は・・・・と時間が経ち。
スカラ座は「ライモンダ」のキャスト変更(しないとムッルは10月に日本でギエムと踊れないはず)を発表せず、しらばくれつづけている。発表してくれたらちょこっと書けるネタになるのにー。
とつぶやいて、呼び水としてみます。

ルグリは既に来日し、ギエムは11月にエオンナガタも上演と1ヶ月も日本に滞在する。やはりこの二人は特別なのだと嬉しく感謝の気持ち。まだ詳細が発表されないチャリティ・ガラの内容が気になるところ。HOPE JAPAN TOUR の地方公演演目を見ると、ムッルは東京のA、Bプロのみ出演らしい。

7月はバレエ公演が目白押し。ところが家庭内事情と自らのリハーサル(!)で3つほど友人に引き取ってもらいました。まだ不確定要素があり。カレーニョのアデューだけは行かせて欲しいー。ABTの「ロミオとジュリエット」はこのままだと1回も観られないぃ。
それなら事情発生前にと東京シティ・バレエ団「ジゼル」を追加して、懲りない私のおサイフはもう唯の通過点。

前置きが長くなりましたが、ほんのすこしだけ公演の感想メモ。

小出領子さんのオデット
切々と物語が伝わる。ひんやりしていない。しっとりと感情の通う、柔らかな女性。王子との出会いでは警戒心より驚き、好奇心もすこし。見つめ合って恋に落ちてからは、ためらいつつもどんどん惹かれていく。恋に落ちた自分を受け入れるのに素直。王子の誓いに幸せそうな微笑を見せる。不安はあっても王子を疑う気持ちはかけらもない。
ダンサーによって、本当に王子に恋しているのかな、信じているのかな、どちらかとういと賭けているのでは、と感じることもある。それがまったくなくて、偶然やってきた王子に一目で恋に落ちてしまった、その誓いによって救われることより恋そのものが先にある、それがオデットのすべてだったと納得。案外そういう風には今まで観ていなかった事に気づく。

オディールもとても良かった。生き生きと緩急つけた踊りに、いろいろな意味を持たせたたくさんの種類の微笑みが冴える。

後藤晴雄さんの王子
オデットにもオディールにもあっさりめろめろになってしまう、それを隠そうともせずひたすら追う人のいいお坊ちゃん。老成してないし、感じ良くまっすぐ。そのまっすぐ優しい気持ちがオデットに届く。オデットと湖畔のアダージョでは彼女のはばたくように広げられた手が離れていくと、その手に触れていた自分の手を信じられないもののように見つめたり、かなり細やかに動きと感情がつなげられていた。
とにかくこの二人のアダージョはドラマが感じられ見応えがあった。

上野水香さん
マシュー・ゴールディングと組むと何故かこの人への苦手意識が薄らぐ。2006年のバレエフェス全幕でジョゼ・マルティネズと組んだとき以来オデット/オディールを観ていなかったが、格段に進化している。ただの動きではなくて、感情が伝わってくるようになった。それでも勿論好みではないと思わせられる瞬間は多々あるけれど。

マシュー・ゴールディング
リスク高い日本に続けて来てもらって申し訳ないけれど、でもまた日本に来て踊ってね!オランダも行きたいわ、と真面目に思っているぐらい彼は魅力的。素晴らしいダンサーだと思う。王子としては自然体。ソロルでもそうだったけれど、自然体でこの人は説得力がある。そしてあの美しい踊り。着地音だけは高いけど。彼の回転はただもううっとりと見蕩れるだけ。すっくりと力みなく立ち上がった骨盤から上半身はそのまま涼やかに揺るがない。最初から最後までクオリティの安定した回転。彼の誠実さや好青年ぶりが舞台にそのまま良い雰囲気をもたらす。王子が騙されようが、ソロルが嘆こうが、観ている私は幸せだ。どうだ!がなくて踊りも演技も良くてそのままに観る人を幸せにできる。
NBS様、彼を2012年の世界バレエフェスティバルに呼びましょう!!

書き出すと長くなりますね。とりあえずここまでにしておきます。

公演感想2011 | 【2011-07-06(Wed) 21:59:10】
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BRBあれこれ
バーミンガム・ロイヤル・バレエの日本公演も明日の1回を残すのみ。これまで17日のアシュトン・プロ、22日眠り、28日今日のアシュトン・プロと行きました。明日も行きます。
レッスンを週末に移したので、さらにバレエ鑑賞を入れてしまうと落ち着いて家に居られる時間が減ってしまい、手元はいろいろなことが滞っている状態。既にちゃんとした感想を書くのは諦めモード。少しだけメモしてみます。

まず今日の「真夏の夜の夢」佐久間奈緒&ツァオ・チー
最後のタイターニアとオベロンのPDDがとても素晴らしかった。17日の吉田&モラレスとは違った風景が見えました。それはパートナーを組んだ時間、合っているかどうかの違いの差かもしれない。かなりのスピードでスリリングにでも確実に、くるくるしゅたっ とすべてが心地よく決まっていく。それがまさにタイターニアとオベロンの関係を表していました。フレッシュなカップルではない、長い信頼関係があり、仲違いをしたあと二人はまた強く結びつく、というような。

17日のアシュトン・プロを観終わったとき、これをあと2回見ることにしちゃったんだなあ、と思ったのは「ダフニスとクロエ」にすこーし退屈するから。満載な踊りは楽しいけれど、そう続けて何度も観たいとは思わないのが正直なところ。
前にオーストラリア・バレエにいたマシュー・ローレンスが17日は「ダフニスとクロエ」でドルコンを、「真夏~」でデメトリアスを踊っていて、なかなか良かった。踊りも悪くないし、演技部分も熱血で楽しく。
28日のデメトリアス、ジェイミー・ボンドの方がおとなしめで踊りは綺麗。

「ダフニスとクロエ」で面白いな、と思うのはダフニスがリュカイオン(都会から来た人妻)に誘惑されて結局応えてしまうところ。我にかえった後はずっぷり落ち込むけれど、こういうところの男のリアリティは嫌いじゃない。ジェイミー・ボンド(17日)も良かったし、こういうちょっと浮気性な部分を演じさせたらピカイチな(前回来日のコッペリア、フランツ)イアン・マッケイはさらに真に迫ってました。

眠りを1回しか見られなかったのは本当に残念。今日、佐久間&ツァオ ペアをみて、やっぱりこの二人の眠りも観るべきだったと思いましたが、縁がなかったのですね。
眠りはライト版そのものも気に入ったし、タマラは万全、ひたすらうっとり幸せでした。この22日の嬉しい発見が、セリーヌ・ギッテンス。喜びの精を踊っていたのですが、17日の「ダフニス~」でとてもいいな、と思って名前がわからなかったのが彼女でした。

「ダフニス~」の冒頭の群舞でもひとり上をいく美しさ。音楽をよく感じ、それを表現しているのがわかります。肩を組みつつ並んでいるほかの女の子たちが無表情に思えてしまうほど。特に首から肩、上半身の動きが美しく、顔のつけ方も違和感がない。勿論長くほっそりした手脚も伸びやか。
ついつい彼女に目が行ってしまうのです。眠りでは喜びの精の他に、ガーランド・ワルツ、3幕でも群舞で踊っていて、もういいや、見たい子を見ようとずーっと追っていました。見る者を幸せにしてくれるダンス。

今回、この時期に予定通り来てくれて、チャリティ公演まで追加してくれたBRB。予定通りに来てくれた、ということがどれほど心に沁みたことでしょう。日本のバレエ ファンとのあたたかい関係の始まりかもしれない。こういうカンパニーを大切にしたい。ビントレーの作品など、観てみたいレパートリーはまだまだあります。そう時をおかずにまた来日して(招聘して)欲しい。その時にセリーヌ・ギッテンスが在籍していたらきっと階級が上がっているでしょう。現在はファースト・アーティスト。将来が楽しみなダンサーを舞台上で見つけられるなんて、ファン冥利につきます。

ちなみに彼女は2006年のローザンヌ・コンクールのファイナリストなのだそうです。
la dolce vita のnaomiさんに教えていただきました。当該記事はこちら

公演感想2011 | 【2011-05-28(Sat) 22:48:06】
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BRB チャリティ公演
様々な来日キャンセルが続き、自分はチケット買っていなくても気持ちが沈んで仕方ありませんでした。責めることも出来ないし、ただ無力感。そして忘れていました。来てくれる人たちを迎えることが出来るのを。昨晩決断し今宵は少し散財。S席とカンパニーブック、写真。少ないけど義援金も。
まず開演前に芸術監督ビントリーの挨拶がありました。最初は少し日本語、あとは通訳付。内容はこれ迄に語られたこととほぼ同じ。チャリティグッズと義援金にダンサーが立つことも。
終演時にも挨拶あり。エルムハーストバレエ学校の生徒たちが折ってくれた千羽鶴がNBSの高橋事務長に贈呈されました。来日公演に生徒も参加しているそうです。その彼らから。ひとりは多分日本人の男の子。それを受けて高橋氏、来日キャンセルが続くなか、勇気をもって来てくれたカンパニーに感謝の言葉、場内拍手が続き。
手を叩くことしか出来ないのがもどかしい。来てくれて本当にありがとう!!
演目の感想は後程。

公演感想2011 | 【2011-05-17(Tue) 22:22:57】
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ミラノ・スカラ座バレエ Gala des Étoiles 4月27日、29日 その他の演目編
Antonella Albano - Claudio Coviello
Le Spectre de la rose

Coreografia:Michail Fokin
Musica:Carl Maria von Weber

薔薇の精を踊ったコビエッロは1991年生まれ、なんとまだ19歳かもしれない。ローマ・オペラ座バレエ学校で主に学び、スカラ座に入ったのは2010年。パンフレットのイタリア語によるプロフィールから固有名詞を拾うと他にもどうやら受賞歴やらなんやらあるようだが、とりあえずテクニックに優れ将来を嘱望されているスカラ座の新進コールドのようである。
確かに良く跳び回り、伸びやかに踊っていた。特に腕の表現がなまめかしく、薔薇の精のあの両腕を頭上にあわせてひねるようなポーズにたじっとなる色気あり。
勿論若さゆえの経験不足か、細かいコントロールと帳尻あわせは今一歩。音楽性ももうひとつ。ただしひとつひとつのポーズなどはなかなか美しい。

少女のアントネッラ・アルバーノはソリスト。プロフィールによればバーリ生まれ、主にスカラ座バレエ学校に学び、モンテカルロのプリンセス・グレース・アカデミーでも学んでいるらしい。スカラ座には2000年入団。
「白鳥の湖」、ヌレエフ版の「眠れる森の美女」「ドン・キホーテ」、バランシン「真夏の夜の夢」、マクミラン「マノン」「ロミオとジュリエット」、「ジゼル」にも主演している。
私が彼女をマークできたのは2007年10月の「ル・パルク」、映像ではビゴンゼッティ「メディテラーネア」でもPDDを踊っている。小柄ながらとても切れのいい踊りをする人で、けっこう気に入っている。
少女としては申し分なかったけれど、これは薔薇の精を観る作品と言っていいので、彼女の良さは他の作品で観たかった。

Alessandra Vassallo - Federico Fresi
Diana e Atteone

Coreografia:Agrippina Vaganova
Musica:Cesare Pugni - adattamento di Riccardo Drigo

ディアナのヴァッサーロは最近相当抜擢されている若手コールド。入団は2008年。2009年11月の「ジゼル」のときミルタを踊っていて識別するようになった。最近では「マノン」でレスコーの愛人をかなりの回数踊っているらしいが見ていない。ミルタを見た限りではその抜擢を納得できなかったが、今回も納得させてくれなかった。容姿は悪くないが、踊りが雑で安定しない。勢いで踊っているように見受けられるところがあって、ポーズからポーズへの移動に不安が残る。はっきり言ってこのガラで踊るには役不足。噂によればワジーエフのお気に入りということらしい。

アクタイオンのフレーシは今回ようやく識別。すこし小柄かもしれないがまあよく跳び回った。跳躍は小気味よく綺麗。ファイヴィフォーティもやっていたし、トゥール・アン・レールの2連発とかもなかなか。スカラ座のコールド(入団2008年、しかし彼はENBなどで踊ってきたらしい)にもこのぐらいのテクニックを持つ男子がいるということか、とちょっと微笑ましく。グラグラなヴァッサーロちゃんをよく支えていた。

しかしこの「ディアナとアクタイオン」、何度かいろいろなキャストで観ているけれど、ああ良かった!と思ったことが一度もない作品。どちらかがよければどちらかが物足りないのがほとんど。作品として面白いとおも思えない。ワガノワ先生ごめんなさい。

Gilda Gelati - Eris Nezha
L’histoire de Manon
Pas de deux - Seconda scena, Atto I

Coreografia:Kenneth MacMillan
Musica:Jules Massenet

1日目は音楽とのタイミングがうまく合わせられないようですこしハラハラ。2日目には改善していたが、総じてもっとレベルアップして欲しいなという出来。
ジェラーティは一応スカラ座のプリンシパル。でも全然マノンに見えなかった。
ネッザはアルバニアの人でスカラ座バレエ学校を経て2002年に入団。1月の「マノン」ではデ・グリュを踊っている。2010年11月の「オネーギン」ではムッルのときにレンスキーを、2009年12月『Serata Bejart』では「火の鳥」フェニックス、2008年9月の『Serata Petit』では「アルルの女」フレデリを観ている。彼は演技がなかなかうまく、身長もあり体型は見栄えがするが、踊りの精確さにかなり物足りなさが残る。

Friedemann Vogel
Mopey

Coreografia:Marco Goecke
Musica:Carl Philipp Emanuel Bach

日本で一度観ている作品。特に好きでも嫌いでもないけれど、何度も観ると少々飽きる。フォーゲルはやっぱりしなやかで綺麗だなとはっとする瞬間が幾度かあり。日本ではくすくす笑いも出ていたように記憶している、ちょっとユニークな動きが出てくるが、スカラ座の観客は神妙に静かに観ていた。受けてないのかしら?と思っていたらカーテンコールでは大喝采。

Agnès Letestu - Hervé Moreau
Cenerentola
Pas de deux - Atto II

Coreografia:Rudolf Nureyev
Musica:Sergej Prokof’ev

第2幕の回転する丸椅子を使ったアダジオ。ルテステュにはやはりモローぐらいの身長のパートナーの方がバランスがいいと痛感。
きらきらと大人っぽく美しいルテステュ。すこし顔がふっくらしたかとも思ったが、ほんの少し動くだけで美しいモロー。あの長い手脚がゆったりと大きな弧を描くのは気持ちがいい。プロコフィエフの音楽に乗ってまさにうっとりするひとときだった。
ただしアダジオだけで短く、跳んだり回ったりのハデさもないせいかスカラ座の観客の受けは今ひとつだったようで残念。モローが舞台に立つのは久々だということを認識している人の比率が極めて低そうなのがスカラ座という場所である。

Mick Zeni - Antonino Sutera
Proust, ou les intermittences du coeur
"Le combat des anges" Pas de deux Morel et Saint-Loup, Scena XII, Atto II

Coreografia:Roland Petit
Musica:Gabriel Fauré
Élégie Op. 24 per violoncello e orchestra

ゼーニ、ステーラともにプリンシパルであり、どちらも割りと好きなのだが、今ひとつぴんとこなかった。この作品には思い入れがありすぎるといえばそうだが、ギョーム・コテとデイヴィッド・ホールバーグの組合せを見たときには心を動かされている。勝手に求めている方向性と違うとでもいうのか。危うさが感じられず、切迫感がない。あっさり振り付けが通り過ぎていくような感じであった。

Olesia Novikova - Leonid Sarafanov
Čajkovskij Pas de deux

Coreografia:George Balanchine
Musica:Pëtr Il'ič Čajkovskij

なんというかそれまでのエトワールを除くスカラ座ダンサーたちの舞台とクオリティの違いが歴然。好みのチャイコフスキー・パ・ド・ドゥだったかと言われるとそうでもないけれど、ふたりとも軽やかできちんと踊っているのが心地よかった。もっと若い頃のキレキレ感は影を潜めているが、やはりクリアで重力を感じさせないサラファーノフの跳躍。やわらかく伸びていくマネージュ。そして妻と踊って妙に嬉しそうに見えるのは気のせいか。
ノヴィコワも音楽の合わせ方は好きではないけど、コントロール自在に溌剌として良かった。

Marta Romagna – Gabriele Corrado
L’altro Casanova
Pas de deux

Coreografia:Gianluca Schiavoni
Musica:Antonio Vivaldi
dal Concerto in Si bem. magg. per violino discordato,due orchestre di archi e basso continuo, RV 583 (Andante)

3月に世界初演されたばかりのスカラ座の新作より。ファーストキャストではポリーナ・セミオノワだったカサノヴァをマルタ・ロマーニャが。エロスは同じくファーストキャストのコラード。この組合せは本公演ではなかった模様。
ビゴンゼッティの「カラヴァッジョ」を髣髴とさせる雰囲気。音楽も衣装も。薄暗い照明の中、ロマーニャの長い手脚が大きく動くのはなかなか見ものだったし、コラードも悪くなかったけれど、作品世界がどうもよくわからないのでなんとも言いようがない。最後、カサノヴァはエロスに拒絶されるようである。


Hélène Bouchet - Roberto Bolle
Orpheus
Pas de deux

Coreografia:John Neumeier
Musica:Igor’ Stravinskij
da Orpheus (Pas d’action - Pas de deux)

ボッレのためにノイマイヤーが振付けた作品なのに、当のボッレが故障のためまだ舞台で踊れていなかったもの。エレーヌ・ブシェがかけつけ、ここスカラ座でPDDのみだがようやく実現した。
エウリディチェのブシェが舞台真ん中に背中を向けてたたずみ、オルフェオのボッレが登場してすぐに黒いサングラスのようなものをかける。つまり冥界に妻を迎えに来た場面ということか。求め、信じたく、おたがいに確かめようとする二人の様がもどかしく続き、最後にやはりオルフェオは黒いサングラスをはずしてエウリディチェを見てしまう。力なくゆっくりと横たわっていくエウリディチェ。顔を覆うオルフェオ、だったか。

二人がお互いを信じたく確かめようとする部分がノイマイヤーらしく細やかに胸に響いてくる。
ボッレはかなり人間臭く感じた。神々しいギリシャ彫刻ではなくて。ブシェはため息が出そうに切々と胸を打つ。動きはいつみても美しく気持ちよい。無駄な筋肉がついていない細い脚。完璧なアン・ドゥオール。
彼女を観ていて、ああやっぱりハンブルクに行かなければという気分がまた頭をもたげる。
これはやっぱり全幕で観たい。

ムッルだけで満足してしまったが、ガラ公演としてどうなのかと言われると残念ながら玉石混淆である。ゲストたちもそうだが、スカラ座のエトワール二人はやはり別格なのだと実感した。

スカラ座でバレエを観る楽しみの一つに音楽がある。今回の指揮は1月の「マノン」に続きデヴィッド・コールマン。バレエ指揮者として定評のある方らしいが、実は私はちょっと合わない。
「薔薇の精」「モレルとサン=ルー」とチェロのソロが大活躍の曲が多かった今回、首席奏者はSandoro Laffranchini さん。あたたかく落ち着いた揺るぎのない音色がとても良かった。スカラ座のオーケストラの演奏会なんかも行ってみたいと思った次第。

公演感想2011 | 【2011-05-06(Fri) 00:04:41】
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