プロフィール

Author:homia
homia(ほみ)
2004年春、山岸涼子の「テレプシコーラ」を読み
同年8月東京バレエ団40周年記念ガラからバレエに通い始める
2006年7月7日ブログ開始

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ミラノ・スカラ座バレエ ジョン・ノイマイヤー「椿姫」3月23日 フェリ&ボッレ
Marguerite Gautier : Alessandra Ferri
Armand Duval : Roberto Bolle

Monsieur Duval : Gianni Ghisleni
Nanine : Roberta Nebulone
Le Duc : Vittorio D' Amato
Prudence : Sabrina Brazzo
Le Comte de N. : Riccardo Massimi
Manon : Gilda Gelati
Des Grieux : Andrea Volpintesta
Olimpia : Lara Montanaro
Gaston Rieux : Mick Zeni

とにかくフェリがとんでもなく素晴らしく、それと同じぐらいロベルトも素晴らしかった大感動の舞台。二人のバランスが良く、相乗効果でどんどん世界が濃くなっていった。ハイデが映像でしか見られない私にとって、舞台で観られるフェリ以上のマルグリットが居るだろうか。

第一幕
客席のざわめきも明るさもそのままにナニーヌがオークションの場となったマルグリットの家に登場し舞台は始まる。
アルマンの父がたたずむ。
ロベルトのアルマン登場。黒の衣装がとても良く似合い、私にとってはすこしマッチョすぎる身体が黒のせいかそう感じられない。傷つきやつれはてたはずの役どころであってもロベルトはどこかまぶしい。
何しろばたっという倒れっぷりが見事。
父がかけより二人は抱擁。回想が始まる。
舞台の背景が変わりフェリのマルグリットは上手側の椅子にいる。
表情を自在に操り咲きこぼれる花のようにあでやかなマルグリット。顕わな肩の表情が豊か。
マルグリットから目が離せないアルマン。紹介されるのを喜ぶも椅子をひかれていたく誇りを傷つけられる。
帰る!という怒りの激しさもさることながら彼はやはりマルグリットの近くを離れることが出来ない。
マノンと踊るフェリ。テクニックがどうのこうのという次元を超越して動きが演技そのもの。
デ・グリューと踊るロベルト。美しい。この方の踊り、私にとってもこれほど魅力的だっただろうかと失礼ながら思う。
自分の屋敷で鏡の前にたたずむマルグリット、先ほどまでのあでやかさとは別人。アルマンに出会ったときから、マノンを観た時から彼女は暗い予感に苦しめられているように感じられる。
赤のPDDのフェリは魅惑的で残酷で、けれど最後にはどこかかわいらしいところが出てくる。
マルグリットの前に何度も身を投げ出し、足にすがり、ひざでいざりよるロベルトのアルマン。実に情熱的。それを観ている時にうまくことばにはならなくても、優れたダンサーの演技を伴った踊りからはとてもたくさんのものが感じられる。腕が、脚が、指先がつま先が語ってしまう。そのことを強くロベルトに感じた。ひとつひとつの動きが、ポーズが情熱的にひたすらマルグリットを求めるアルマンそのもの。それ以外の何を感じろというのか。瞬間瞬間が胸に切り込んでくる。
この日は上手側サイドの桟敷だったので上手張り出し部分でのアルマンの演技が見られず。
アルマンに心を許してもこれまでと変わらない生活を続けるマルグリットの描写が続く。
そして田舎へ。

第二幕
なんといっても白のPDDにつきる。
まず公爵と対決する時。その場を去ろうとするアルマンを引き止める決然としたマルグリットの手。そういうふうにできているといえばそうだけれど、それ以上のものを感じる。
二人はどこか初々しく見つめあい、気持ちを通わせ、ふれあい抱きあうのだけれど、どうしても崩壊の予感に彩られる。それは主にフェリの方に。後から考えると理屈がつけられるが、見ているそのときはただただ訳もわからず悲しくて美しくて哀れで熱い涙の枯れることがなかった。二人の世界に共鳴して感じてしまう自分が勝手に涙を流す。
アルマンの父と対決するマルグリットの落ち着かなさ。アラベスクで強く向かっていくところ。懇願。もうなんの疑問を差し挟む余地も、立ち止まる暇もなくフェリがつむぎだすマルグリットと向き合うだけ。ただ私は引きずられていくだけなのだ。
手紙を受け取ったアルマンの怒り。手紙を開いている手がわなわなとふるえるロベルト。彼の立派な体躯が怒りのパワーを増幅する。強い強い感情が押し寄せてくる。ここでも脚がなんとも雄弁。ポーズの一瞬に、描く軌跡に彼の怒りを感じるばかり。舞台を何度も走って横切るがそのときのスピードと勢いがまた凄い。ふっとんでいく。

第三幕
シャンゼリゼで出会う。舞台真ん中のベンチに最初はアルマンが物思いにふけりうつむいて腰掛けているが、オランピアの登場で最後にベンチに寂しく座るのはマルグリットとなる。
オランピアの手を取り、最初は気のない様子だったアルマンがだんだんと心変わりしていく。何度もベンチに座るマルグリットを見る。最初はそれがせつないまなざしだったのが、やがて残酷さを見せ付ける。笑顔でオランピアに接し、マルグリットを苦しめる。
その後上手張り出し部分でオランピアを襲うけれど、ここでロベルトのアルマンははっきりと欲情を感じさせる。がばっと女に押しかぶさり服を脱がせ目的を達しようと一直線なオス。はたと我に返り自分のした事を悔いて苦悩するアルマン。
黒のPDD。見ているこちらも感情が溢れて一杯でどうしていいかわからなくなる。とにかくロベルトは強く情熱的。何度も見たはずのこのPDDがまた違って見えてくる。ふたりが背中を合わせて、両腕を広げたアルマンの肩にマルグリットが持ち上げられ、脚を動かす印象的なところ。今まで観た誰よりもフェリのその脚が何かを語った。ことばにならないけれど、その動きが矢のように何かを私の心に飛ばしてくる。
向き合って手を差し出すアルマン、すがりつくようにその手に口づけするマルグリット。狂おしい程のせつなさといとおしさ。
最後アルマンがマルグリットにお金を渡す前の舞踏会のところ。怒れる男のアルマン。怖い。力強く怒っていることを感じさせるロベルト。とても乱暴に荒々しくマルグリットと踊る。踊るというのか、振り回し小突き回すとでも言った風情。
手紙を読み、ショックのあまりふらふらよろよろと舞台の真ん中あたりまで出てきてお金をばさばさとばら撒くマルグリット。実に効果的。
病状がすすみ、鏡を見て容色の衰えにおびえ、それでも化粧を施して出かけるマルグリット。真っ赤なドレスが痛々しい。
日記を記そうとする執念。このあたりもまた女優フェリの真骨頂。こちらはただ見ているしかない。
このあたりは舞台か観て張り出し部分でのアルマンの演技が続くのだがこの日は見えなかった。
白い衣装のマルグリットがぱたりと倒れ、舞台に立ち尽くすアルマン。
すぐに嵐のような拍手喝采。
二人の感情のうねりに飲み込まれ、いっしょに振り回され、涙を流しへとへとになるような鑑賞。しかしその何と得難いことか。
とにかく素晴らしかった。すぐに詳細のメモをとったりせず、続けてマッシモの舞台も観たので細部の記憶は薄れているが。
フェリの素晴らしい全幕になんとか間に合ってよかった。ロベルトもこんなに素敵ではもうどうしようもない。

バレエ公演感想 | 【2007-03-31(Sat) 22:15:53】
Trackback:(1) | Comments:(2)
コメント
ほみさん
やっぱりほみさんの感想好きです。私が見落としていることや書き落としていることがたくさんあって。

おっしゃるとおり見ていて本当にへとへとになるけれどこんなに充実した公演にめぐりあえて私も嬉しかったです。

TBを試みました〜。
2007-04-01 日 05:13:50 | URL | amica #- [ 編集]

amicaさん
TBありがとうございます。私もさせていただきました。
amicaさんのあらすじも的確に紹介しながらの感想はいつも読み応えがあります。
やはりお互いに見落としていることを発見するのですね。
ロベルトのアメリキャーンな笑顔が・・・のところで、あらーマッシモそうだったっけと。
そんな素敵なところに気づかずにいたとは。
2007-04-02 月 00:49:23 | URL | ほみ #i6xd7TUA [ 編集]
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 今日、フェリ最後の「椿姫」に行ってきました。思い出すとまたまた涙がにじみます。フェリ凄かった。これまでロベルトと一緒に踊るのを見るたびに最高のバレエ女優だと思ってはいたけれど、ここまでとは思っていませんでした。これまで私が見たすべての舞台芸術の中でこの
【2007-04-01 Sun 05:10:26】 | ロベルト・ボッレのバレエな日々