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homia

Author:homia
homia(ほみ)
2004年春、山岸涼子の「テレプシコーラ」を読み
同年8月東京バレエ団40周年記念ガラからバレエに通い始める
2006年7月7日ブログ開始

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ミラノ・スカラ座バレエ「マノン」1月27日、29日(1)
Manon201101_1.jpg

Choreography:Kenneth MacMillan
revived by Karl Burnett e Julie Lincoln
From music by Jules Massenet
Orchestration and adaptationLeighton:Lucas
Conductor:David Coleman
Sets and costumes:Nicholas Georgiadis

Manon:Sylvie Guillem
Des Grieux:Massimo Murru
Lescaut:Thiago Soares
Monsieur G.M.:Bryan Hewison
Lescaut’s mistress:Sabrina Brazzo
Madame:Simona Chiesa
The gaoler:Gianni Ghisleni
The beggar chief:Maurizio Licitra
The courtesans:Emilie Fouilloux, Stefania Ballone, Luana Saullo, Raffaella Benaglia, Alessandra Vassallo
Three gentlemen:Daniele Lucchetti, Massimo Garon, Marco Agostino
Five girls:Petra Conti, Jennifer Renaux, Giulia Schembri, Sofia Rosolini, Caroline Westcombe
The clients:Danilo Tapiletti, Andrea Pujatti, Massimo Dalla Mora, Dario Elia, Giuseppe Conte
The prostitutes:Lara Agnolotti, Catherine Beresford, Patrizia Milani, Alessia Bandiera, Chiara Borgia, Alessia Passaro, Stefania Ballone, Licia Ferrigato, Adeline Souletie, Monica Vaglietti, Azzurra Esposito, Serena Sarnataro
Old gentleman:Matthew Endicott
The maids:Silvia Scrivano, Roberta Nebulone
Six beggars:Federico Fresi, Valerio Lunadei, Matteo Gavazzi, Fabio Saglibene, Antonio De Rosa, Marco Messina

当初のキャスト予定ではムッシューGMだったギスレーニが看守に、看守だったHewisonがGMに入れ替わっています。スカラ座オフィシャルの表示もきちんと変更されています。

ギエムとムッルの二人に関して言えば、手放しで素晴らしくまさにミラクルでした。2回共です。
ずいぶんたくさんのムッルの舞台を観てきましたが、ここまで凄かったのは実は久しぶりなのだと初日を観終わって気づきました。
まったく隙なく舞台でデ・グリュを生き切っている。やはりギエムが相手だとこうなるのか、それはギエムの偉大さでありムッルの限界か。誰が相手でもそこまでやって欲しいなあと思いもするけれど、それではパートナーが変わっていく意味がないのかもしれない。正直なところ1幕が終わった時点で、“やっぱりシルヴィが相手だとこうなるのね、いつもここまでやってよー!!”と心の中で叫んでいたのですが。
そうして観終わるころには、この、もう後がないかもしれないギエムとの共演を観られた幸せをかみしめつつ、早くも惜別の感情に襲われ、ムッルのこれからに明るくない思いを抱いてしまいました。
マクミランやアシュトンの物語バレエを演じることにおいて真にムッルを開いたのはギエムだったのではないか。ムッルはノイマイヤー「椿姫」、クランコ「オネーギン」を他のパートナーと踊ったけれど、今でもギエムとの舞台の方が観客を容赦なく巻き込むことが出来る。ギエムの側から、ことにギエムのファンの側から観ればムッルはみそっかすのパートナーでしょう。ローラン・イレール、ジョナサン・コープ、ニコラ・ル・リッシュ。ギエムにとって無二ではないのに、ムッルにとってはおそらく唯一無二のパートナー。そのギエムは今後こうしたものを踊らなくなる。既に2006年からの4年間がそう。ギエムが特別なのはわかっているのにその彼女とはもう踊ることはないかもしれない。今年不惑になるはずの彼の今後に何が待っているのか、彼はどこに進んでいくのか。
それでもこの人を見続けることをまだ止められないけれど。

まわりを見渡してみても、ベスト・パートナーと誰もが認め、踊る側も観る側も幸せな組合せが今どれだけあるのか。日本のバレエ団の花形スターが世界各国のスターと次々に組んだからといって、観る側は必ずしも幸せではない。バレエにおけるパートナーの難しさ微妙さを思います。


第1幕
音楽だけ聴くと最初のところは回想を思わせ、原作はデ・グリュが語る回想なのだと思い至るけれど、真ん中にレスコーが座っていると全然違った感じになる。曲が変わってたくさんの人が行き交い宿屋の中庭の雑然とした雰囲気。若いこじきたちに覚えのあるコールドの顔を確認しつつ、レスコーとレスコーの愛人、GMを追う。
レスコーのソロ。なかなか良かった。初日はすこし力みがあったかもしれない。はっきり言ってティアゴ・ソアレスの踊りをまともに見つめていられたのはここだけ。マノンとデ・グリュが登場するともう他を観ている余裕がない。あちこちでドラマが同時進行するマクミランを観るのにそれではまずいけれど、今回はマノンとデ・グリュだけ追っているだけでも十分だった。
こじきのかしらはリチートラ。この人はスカラ座バレエのヴィルトオーゾタイプ。ここしかない短い見せ場を思いっきり弾けて踊る。いつまでたっても私のテクニックの見方は甘いようだけど、ジャンプに柔らかさがあり、適度な切れ味。とても良かった。囲むこじきたちはマルコ・メッシナ君以外わからない。Federico FresiとFabio Saglibeneはパンフレットに写真も載っているけどまだ特定できず(メッシナ君は逆にのってないのにわかる)。他はスカラ座バレエ学校卒の若手たちかもしれない。いかにもまだ若そうなこが幾人かいたので。
全体に悪くない。こじき君たち頑張っていた。

レスコーの愛人はサブリナ・ブラッツォ。けばけばしい化粧が好ましくない。イタリアの色気のある女性が目一杯装いました風。踊り演技とも全体に少々過剰なようにも。存在感はそれなりにあったけれど。
GMはBryan Hewison、ちょっと存在感が薄い。嫌ったらしいさが足りない。
マノンの登場前にひっそりとデ・グリュは出てくるが、2日とも気づいたらテーブルのそばにもういた。全体にアイボリーの衣装、長い上着、タイツ、ブーツがそれはもう似合って、水もしたたる麗しい若者ぶり。髪形は基本オネーギンの時と同じで長いものを後ろにつめて結んでいる。デ・グリュは短髪の人でも後ろに尻尾とリボンをつけるけれどムッルは自前と言う訳。オネーギンのときは人相が悪く見えたのにあら不思議。
分厚い本を幾冊かまとめたものを持ち、その頁をめくりつつ宿屋の中庭をすこし興味深そうにうろうろする。麗しい品のよさ、世間知らずそうな感じがまわりの関心を集めちょっかいを出されている。特に女たちは放っておけない(そりゃそうだ)。お金がなさそうには見えないからこじきにも近寄られ。下手ギリギリのテーブルに落ち着き本に目を落とす、とあのファンファーレがなってマノンの登場。

ギエムは見た目ではマノンに見えない。今回久々にマノン原作を新書館版の新訳で読んだが、マノンのイメージとして浮かぶのはフェリとかヴィシニョーワとかロホだった。(ちなみにデ・グリュはなんとなくボッレを思い浮かべていた。ムッルも実はイメージではない)。姿だけで男たちをたまらなく魅了してしまう要素はギエムにはないけれど、ふるまい方、何よりもそのまなざしの使い方で男たちを魅了してしまう女をつくりあげていた。大きなサイフをもって馬車からともに降りてくる老紳士をからかいつつ挑発するさまがなんとも自然に嵌っていて、そういう自分もわかっているし、楽しんでいる少女であることがわかる。
ちなみに老紳士はマシュー・エンディコット(スカラ座バレエ2007来日ドン・キでキトリ父あたり)。この人はダンサーにあるまじきボリュームのある身体つきになってしまったので(それでも「春の祭典」の群舞を踊っていたが)、この役はぴったり。馬鹿にされ最後にはこじきたちにぼこぼこにされるのがなんだか痛ましかった。

今回は2回とも下手の1階桟敷席。初日は下手がちょっと見切れて、座っているデ・グリュの表情は見えず。2日目はなんとか見えるが、反対側から見ないと表情まではうかがいにくい角度でデ・グリュが座っているので、いつマノンに気づいたかは結局わからずじまい。テーブルを後にして舞台後方の真ん中あたりに立ち尽くしマノンを見守るところでは既に、彼が魅了されているのがわかる。それから上手のテーブルに移動し、上着を脱いで飲み物を注文し、本も離さないがマノンを見つめ続ける。その間もあれこれ店の者なのかそうでないのかちょっかいを出されながら。
ムッルはこういうところで明るくないので、ひたっと見つめるストーカー風になる。それが私は好きだけれど好みの分かれるところだろう。初日はおどおど感があったが、2日目の方がヴァリエーションが効いていて、落ち着かない様子になってみたり、開き直ったように堂々と見つめてみたり、やがてマノンへ思いを告げる、とにかく彼女に近づこうと決意していくのがわかった。

衣装の身体へのおさまり具合がどうしても気になってしまうのは相変わらずで、その顕著な例がベストや上着をしょっちゅうひっぱるクセに出ているのだと推測しているが、2日目は上着を脱いだ後ブラウスの袖ぐりのベストへのおさまり具合が気になったらしく、脱いでからしばらくそのあたりをなでたりのばしたりしていた。まあ演技の一環としてあげてもいいけれど、見ている方もどこまでムッルだけ見ているのやら。ストーカーは客席にいる。
ということで、ギエムのマノンがどうデ・グリュを意識しているか見落とした。

皆が一旦去って、デ・グリュのマノンへ想いを伝えるソロ。美しかった!初日は若干硬さが残っていたが、2日目は相当好調。この人まだこんなにちゃんと踊れるのではないかと思ってしまった。つまりここ最近その辺に満足していなかった訳で。だからいつもそこまでやってってば・・・
最初は遠慮がちにでもまっすぐに、マノンの視線を受けてだんだん熱を帯び、彼にとっても初めての甘美な思いが身体からほとばしる。やがて笑顔を見せ、最後には幸せそうに自分の気持ちに身を投じ、マノンの前に跪き手を押し頂く。彼の運命は決まった。

二人で踊り始める。ここの旋律は何故あれほど物悲しいのか。二人は初めての恋の入り口の高揚感の中にいると言うのに。二人の恋の行く末の暗示、生きることのはかなさをも思う。
マノンは最初初々しさを見せ戸惑いつつ、次第に瞳は輝きを増してデ・グリュに応えていく。見交わすまなざしの親密さ、最後は有頂天の二人。
マノンが上半身をのばしたまま、デ・グリュが腕を支えて床に沈むシークエンスがが何度かある。その最初、沈んで引き起こしてリフト、マノンは脚を天にむけゆっくり開き逆さになる。まるでスローモーションのように彼女の脚が動き、心の高揚を伝える。吸い寄せられるように見つめ、それ以外に何を感じろと言うのだろうかと、振付にこめられた意味を改めて悟る。マノンは陶然と恋に身をゆだねていくのだ。
デ・グリュに運ばれながら一歩一歩歩くように床を打つところ。ポワントの音がこれ以上ないタイミングで音楽と重なる。マノンは地に足が着いていない。
デ・グリュの腕の中で上体を伸ばす、そのしなやかな動きはどこまでも伸びていくようで、彼女の心もどこまでものぼりつめていきそうなのだと感じる。
目を見張るギエムの動きを支えているのはムッルの的確なサポートだ。ギエムがこうしたいと要求することに彼がこたえて彼女の思うところが実現されていくのだろう。そうして現れる効果はムッルにも返り、彼のデ・グリュも深まっていく。
恋する若者そのもので、それ以外何も見えていなくて、マノンには限りなく優しく、見つめる瞳は狂おしく切なく、自らも幸福感を湛えている。こちらの胸が痛くてどうにかなりそうだった。

手に手をとって大急ぎで駆け落ち。急いでいる中に老紳士の大きなサイフを持っていくことは忘れないマノン。デ・グリュは上着だけ持っていく。
寝室のPDD。羽ペンで真面目に父親への無心の手紙をしたためるデ・グリュ。ベッドでしどけなく身体を動かし起き上がったマノンは、後ろからデ・グリュに近づく。真ん中あたりで歩幅で両足ポワントに立つ一瞬がある。デ・グリュが何をしているのか確認しているのか。
羽ペンを後ろから奪って放り投げる。振り返り見て一瞬抗議の表情を見せるけれど、ムッルはほんとうにかすかに一瞬。すぐに笑顔になってマノンを見つめ、戯れが始まる。

最初は軽くふざけあっていたのが、途中から本気のまなざしを交わし、止まらない愛撫の中に落ちていく。
マノンが脚をはさみのように閉じたり開いたりするところ、旋律とリズムを合わせることが多いがそれを敢えて外し、かなりの速さで瞬間的に見せたのには軽い驚きを覚えた。
高く投げるリフトも入り、上昇と下降の激しさの中に結ばれた恋人同士の恋の幸福の絶頂が表現される。
デ・グリュが手紙を出すために出かけていく。コートを着せ掛けてやってからマノンはデ・グリュの肘を引っ張り、頬をふくらませてみせる。行ってくるよのキスは?と催促。デ・グリュがキスしてから出かけていくと、幸せに舞い上がる気持ちのままベッドに猛ダッシュしてダイブ。ここのギエムの思いきりのいいこと!

レスコーがGMとやってくる。
マノンはレスコーに抗議。こんなかっこうしてるのに(下着姿)。何故?嫌よ。とレスコーが指し示す先にゴージャスな毛皮のコートが。ぱっと目の色を変え、毛皮しか見えなくなるマノン。当たり前のように袖を通しうっとりする。
後ろからゆっくりと首飾りを顔の前から降ろしてとめてやるGM。首飾りが目の前を通る時、マノンは目を見張り魅了される。初日はそこがとても効果的だったが、2日目はタイミングが合わなかったのか敢えてか、マノンが目を見張る瞬間がなく首飾りが止められてしまった。これは初日の方がいい。
毛皮の袖を翻しながらレスコーに手をとられて歩く。
毛皮を戻した後、レスコーとGMにサポートされながら上昇と下降を繰り返し、GMの眼前に扇情的に脚をさらして挑発していくシーンが続く。ギエムのマノンはそうした自分の魅力を面白がり、毛皮と首飾りをとることに決めていく。
二人の手を離れベッドに腰かけて、GMの前で裾をゆっくりと上げ脚を見せてやる。

毛皮を再びまとって去る前、デ・グリュと過ごしたベッドに戻りシーツに触れて何事かを思う。幸福な思い出への愛惜か。粗末なベッドより毛皮がいいとの確認か。原作の延長で行けば、そうしたことに罪悪感は持たない、それでもデ・グリュは愛しているとその二つが矛盾しないのがマノンという女だと思うのだが。

戻ってきたデ・グリュに真実を知らせ金の力を思い知らせ屈服させるレスコー。デ・グリュは激しく抵抗し拒絶しようとする。
ムッルのこうしたシーンでの激しさを久々に見た気がする。そう、デ・グリュはそうした激しさも持った人物だと納得する。
公演感想2011 | 【2011-01-31(Mon) 23:11:29】
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